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【ショートショート】人材不足【腋の薔薇時計】

   人材不足

 魔術師は「腋の薔薇時計」を考案した。魔法で腋毛を薔薇に変えて、そこに時計を置くだけの芸術だ。腋を見せるという行為により洗練された美しさを上書きすることにより、卑猥な雰囲気を抑えつつより崇高な美を演出できる。彼は芸術家でもあったのだ。
 彼は助手に「腋の薔薇時計」のアイディアスケッチを見せながら、腋の薔薇時計となる女性を連れてくるように命じた。
 助手はほどなくして帰ってきた。魔術師は笑顔で候補の女性たちを出迎えようとした。が、びっくり。とてもじゃないが全員美しいとは言えない。デブだのブスだのよくない言葉が浮かんでしまうような容姿。魔術師は助手の頭を思いっきりはたいた。
「これのどこが美女なんだ!」
 助手は涙目になりながら叫んだ。
「これでもきれいな方なんですよ!」
 女性たちの冷たい視線が突き刺さる。が、助手はお構いなしだ。
「たいていの美女は腋毛をきちんと処理しているから、条件を満たさないもので……」


 毎週ショートショートnote
 お題「腋の薔薇時計」
 文字数402字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)