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【ショートショート】動物愛誤【なるべく動物園】


   動物愛誤

 連休を利用して、N一家は「なるべく動物園」にやってきた。
 愉快な仲間たちがお出迎え! という文言に踊らされた娘は、何を見ても楽しそう。
「あなた……大丈夫かしら」
 だが、親二人は違った。
 このなるべく動物園、名前の通り展示が本物の動物ではない。ハリボテだったり、明らかに着ぐるみだったりする。
 ライオンの着ぐるみが、鉄格子の向こうから手を振っている。……と思ったのもつかの間、ふらりとその場に倒れ込む。本日猛暑日。炎天下。そりゃあ熱中症にもなる。異変に気がついた飼育員が檻の中へと入って、ライオンを鞭で叩き始めた。
「おい! まだ営業中だぞ! 倒れるなら後にしてくれ!」
 N氏は娘の興味をライオンから逸らさねばならなかった。その際、ふと、案内板が彼の目に入った。

「……動物たちを狭い檻に閉じ込めて、見世物にするのは残酷ではないでしょうか。我々なるべく動物園は動物愛護の精神の元……」

 まったく、見当違いも甚だしい。


 毎週ショートショートnote
 お題「なるべく動物園」
 文字数406字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)