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【ショートショート】憎悪、巡って【親切な暗殺】
憎悪、巡って
インターフォンが鳴ったので外に出ると、知らない男が名刺をこちらに差し出していた。
「こんにちは、わたくしこういうものです」
営業は基本的にお断りなのだが、俺はつい名刺を手に取ってしまった。
「先日、あなたのご友人を暗殺したものです」
ああ、とオレは納得してしまった。
友人と喧嘩した。些細な喧嘩だった。お互い譲らずヒートアップした中で「死ね」という言葉は飛び出したかもしれない。だからといって本当に死ぬとは思わなかったが、取り返しのつかないレベルで友情が壊れた後だったので、特になんとも思わなかった。
「私は『親切』をモットーにしておりますので、誰かを救うための暗殺が私の仕事なのです」
俺は晴れやかな気持ちで問いかけた。
「ということは、お礼をすればいいのですか?」
「いえ」暗殺者は笑った。
「わたくしは仕事をしに来ただけですから」
……そういえば、あいつの妹が「あなたが死ねばよかったのに」と恨み言を吐いていた気がする。
毎週ショートショートnote
お題「親切な暗殺」
文字数409字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)