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【ショートショート】諦めたしるし【三日坊主のクレーター】
諦めたしるし
「民家の庭に月のようなクレーターがあるらしい」という噂に研究者たちが駆け付けた。眉唾だと文句を言っていた者も、実物を見ておとなしくなる。そこには確かに見事なクレーターがあった。
「これはすごい」
「紀元前の小惑星衝突により作られたものか」
「いや、分からんぞ」
口々に好き勝手言う研究者たちに、家主がぬっと顔を出した。
「ご主人、すみませんがこのクレーターはいつから?」
研究者の問いかけに、家主は間抜けな声で答えた。
「へ? これは三日前にできたもので……」
「三日前ぇ!?」今度は研究者が間抜けな声を出した。
「ええ。またできますよ」
家主が空を示すと、窓からにゅっと箱を持った手が出てくる。研究者たちは飛びのいた。箱が落ちてきたからだ。
質量のある箱は、庭に思いっきり衝突し、見事なくぼみを作った。
「今度はプラモデルか」
家主がため息をつく。
「三日で飽きるのはいいけど、それを窓から捨てるのは勘弁してほしいんだけどねぇ」
毎週ショートショートnote
お題「三日坊主のクレーター」
文字数406字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)