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【ショートショート】少し火が強かったみたい【二次会デミグラスソース】

   少し火が強かったみたい

 夜六時から始まった同窓会は名残惜しくもお開きとなり、会場入口付近で二次会の話が出た。育児や介護の合間を縫って参加した同級生は帰路についたが、Nは迷っていた。
「たまには二次会に来ないか?」
 声をかけてきたSに、Nはうーんと唸った。
「人の少ない飲み会は、楽しめそうにないなぁ」
「そんなことないさ。二次会デミグラスソースって言葉がある。人数が少ない飲み会は、濃厚に煮詰まったデミグラスみたいなもんだ」
 そう言われると「なるほど」と思う。Nは初めて二次会に顔を出した。

 二次会は小さな居酒屋で開催された。
「うちの嫁が『お義母さんをなんとかして』って煩いんだよ」
「上司が説教ばっかりで……」
「子供が反抗期で困ったもんだ」
 確かにSの言うとおり、二次会の話題は煮詰まっている。しかしそこに青春の面影はなく、現代社会に疲弊した大人たちの嘆きがある。
 ああ、これが二次会デミグラスソース。芳醇で、ちょっぴりほろ苦い。

 Nは無言で、烏龍茶を口にした。


 毎週ショートショートnote
 お題「二次会デミグラスソース」
 文字数410字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)