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【ショートショート】剥がし風【てるてる坊主のラブレター】

   剥がし風

 北風郵便が手紙を運んで来た。
「またラブレターだわ」
 困った様子の太陽に、北風はどうしたものかと話を聞いた。この時期になると地上のてるてる坊主たちが太陽に恋文をしたためるという。確かに地上は長い雨。太陽が恋しくなるのも必然か。「少し顔を出せばいいじゃないか」
 北風は気楽に言うが、太陽は暗い顔。
「だって、少しだけ顔を出しても、もっともっとって言って聞かないんです。なんだか怖くて」「それなら俺に任せな」
 北風は胸を張った。太陽はその言葉を信じて、雲の切れ間から顔を出した。
 軒先のてるてる坊主たちが歓声を上げる。好きですとかファンですとかそんな言葉が飛ぶ。太陽がいよいよ耐えきれなくなりそうになったその時、北風が勢いよくてるてる坊主をさらった。「ぁああー!?」
「時間ですー」
 北風の向こうで、太陽は次の相手をする。それを北風がまた剥がす。太陽が次の相手をし、北風がまた……。

 軒先の子供が、声を上げた。
「つむじ風!」


 毎週ショートショートnote
 お題「てるてる坊主のラブレター」
 文字数408字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)