【ショートショート】陰の功労者【スベり高等学校】
陰の功労者
お笑い養成所に落ちた人たちは「スベり高等学校」に入学することになる。太郎もそうだった。
「れれれん出られん冷蔵庫!」
という渾身の一発芸は審査員の冷たい眼差しで歓迎され、気がついたらスベり高等学校に入学していた。
「自己紹介します! えっと……って、記憶喪失やないかーい!」
みんな恐ろしく面白くなかった。
スベり高等学校の彼らにはスベりの才能があるらしい。そんなものが何の役に立つのかという答えは、すぐにやってきた。
お笑い養成所のエリートたちとの合同授業。
「一発芸します! ごめんなサイクロン!」
冷え切った空気の中、お笑い養成所のエリートたちが立て直そうとする。が、彼らもプロの卵だ。
場の空気を凍らせるプロの卵だ。
「許してくだサーロイン! わぁおいしい!」
渾身のギャグを披露する太郎の目に、闘志の炎が宿っている。
……俺たちは決して手を抜かない。
彼らが世に羽ばたいたとき、冷えた場のフォローができるように。
毎週ショートショートnote
お題「スベり高等学校」
文字数410字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)