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【ショートショート】ファインプレー【あるべき成仏宴】
ファインプレー
「ほら、あるべき成仏宴が始まるから」
「なにそれ?」
大広間からはやたら楽しそうな声がする。私は混乱した。
「この村では、死んだ人が安心して成仏できるように『あるべき成仏宴』っていう宴をするの」
「何が、あるべきなの?」
「平常心で、が省略されてるのよ」
なるほど。私は素直に騒がしい大部屋の方へと向かう。
さて。死んだのは、私のいとこだ。
彼女は本や漫画が好きだった。私も何冊か借りた記憶がある。全てが新鮮だった。もう、あのやりとりはできないのか……。
席に着くと、叔母が箱を持ってきた。
「あの子の部屋にあった本です」
おお。思い出話にいいかも。私は箱を覗き込んで、そして仰天した。
やたら薄い本。半裸の男が抱き合う表紙。適当なページを開かずともあとはお察しください。
私は箱を急いで閉じた。叔母が目を丸くする。
「他の、箱が、いいかもしれない」
私はこの時、確かにいとこの気配を感じていた。
なんなら、拍手の音も聞こえていた。
毎週ショートショートnote
お題「あるべき成仏宴」
文字数410字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)