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【ショートショート】教訓【告白雨雲】

   教訓

 恋バナ好きの雨雲が居た。プロポーズの現場が大好きで、よく遊びに行っては様子を窺っていた。告白が大成功するのを見ると、嬉しすぎて泣いてしまう。しかし彼が振らせた雨は告白の邪魔になるとして、「告白雨雲」なんて都市伝説になってしまった。

 ある日の放課後、とある男が女にプロポーズをした。
 告白雨雲はその様子を空の上から見守っていた。女は顔を真っ赤にして、大きく頷きながら「よろしくお願いします」と言った。
 告白雨雲は感動に泣いた。しかし「雨だわ」という女の声に「しまった」と思った。
 しかし男は、鞄から折りたたみ傘を取り出し、彼女を自然に傘の中へとエスコートした。

 その様子がSNSで拡散され、いつしか「プロポーズの時は大きめの折りたたみ傘を持っていけ」という教訓が生まれた。
 告白する側は咄嗟の雨からパートナーを守るために。告白される側は、もしもノーを突きつける必要があったときに、雨の中を一人で帰れるようにするために。


毎週ショートショートnote
お題「告白雨雲」
文字数402字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)