【ショートショート】きゅーぴっどでござる【忍者ラブレター】

　　　きゅーぴっどでござる

　現代社会において忍者の役目はなく、仕事に困った彼らは自らの身体能力を生かした新たなサービスを作った。それが忍者ラブレター。朝に預かった手紙を昼には渡せる。

　忍者ラブレター。
　めーるより早く、らいんより丁寧に。あなたの真心おとどけします。

　手紙になれていない人向けに伝えたい内容を代筆までしてくれる。青年はこれで二年付き合っている彼女に告白することにした。黒ずくめの忍者はにこにこしながら文面をしたため、出発していった。
　忍者ラブレター。当然ながら返事も早い。忍者はにこにこしながら戻ってきて、青年に一通の手紙を差し出した。

　手紙、読みました。
　とてもうれしかったです。あなたの誠実なところが、私は大好きです。
　でも、せっかくだから、あなたの言葉で改めて読ませてください。

　忍者はにこにこしている。青年は顔を真っ赤にしながら、やや震える文字で返事を書き始めた。忍者はにこにこしながら、青年が書き終わるのを待っている。

　毎週ショートショートnote
　お題「忍者ラブレター」
　文字数408字