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【ショートショート】全茶葉マスタークラス【数学ダージリン】

   全茶葉マスタークラス

「今日も数学ダージリンをやるぞ!」
 数学担当の担任が子供たちに紅茶を配る。説明書には正しい紅茶の淹れ方があるが、肝心の分量が数式で表されている。
 数学ダージリン。香しく豊かな風味が特徴。ただし少しでも分量を間違えると味が著しく劣化する。
 子供たちは美味しい紅茶飲みたさに数学を頑張る。だが、中には紅茶を飲まないヤツもいる。
「国語玉露だ」
 対抗馬を繰り出されて先生の表情がこおっちゃった。えらいこっちゃ。紅茶だけに。
 国語玉露が流行り、歴史烏龍も流行った。様々な数学ダージリンの亜種が流行った結果……数学ダージリンの人気は落ちていく。クラスの数学の成績は前のようには伸びなくなった。
「いいんですか? このままだと元通りですよ」
 生徒が挑発する。が、担任は笑顔で告げた。
「それはないさ。だって、他の教科の成績も爆発的に伸びてるんだから。元通りってことはないよ。むしろ全体的にレベルがあがってバランスがよくなったので……」


 毎週ショートショートnote
 お題「数学ダージリン」
 文字数408字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)