【ショートショート】記念すべき百人目の【昆虫標本ダイエット】
記念すべき百人目の
一人の新米記者が収集家のL氏の取材にやってきた。彼はL氏と気心の知れた間柄だった。L氏は膨れた腹を叩きながら記者にコレクションを見せてくれた。最初、彼はそれを昆虫標本と見間違えた。しかしよく見ると……朝バナナ、林檎、炭水化物。並ぶのはダイエットの手法だ。
「私は私に合わなかったダイエットを収集しているのだ。私がそれに失敗したと分かるようにね」
L氏はそう言って笑った。記者も笑った。
「そんなものの収集なんかしなくても、体型を見りゃ分かるよ」
二人はまた、大声で笑った。
後日、自身の邸宅でパーティーを開催したL氏は、参加者たちに自慢のコレクションを見せていた。
「これは私に合わなかったダイエットコレクション。そして……」
L氏は部屋の奥にある扉を開けた。
「こちらのホルマリン漬けが、私を見て『そんなものの収集なんかしなくても、体型を見りゃ分かる』と笑ったバカタレのコレクションだ。先日、記念すべき百人目の標本が手に入ってね……」
毎週ショートショートnoteより
裏お題「昆虫標本ダイエット」
本文410字
気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)