【ショートショート】空回り【風見鶏ローディー】
空回り
老夫婦が経営する小さな雑貨屋の屋根に、風見鶏はいた。魔除けとしての役割は果たせていたものの、その代償なのか客も来ない。
「今日も暇そうだね」
来るのはこの灰色の鳥だけ。風見鶏は曖昧に笑った。
「もう少し活気があれば、お客さんも増えると思うんだけどなぁ」
「なら、歌おうか?」
風見鶏は灰色の鳥の方を見た。彼は少し咳払いをした。
「こう見えても、歌には自信があるんだ」
「いいのかい? なら、僕が場を整えるよ」
さて、風見鶏ローディーは大忙し。灰色の鳥のため