【短編小説】己が信ずる夜明けへ向かって 1話
庭先で趣味の園芸をしていたラスターは、こちらにずんずんと歩を進めてくる影に飛び上がりそうになった。何故か覇気迫る表情のシノの後ろを、弟のアカツキが陰気な顔でおとなしくついてきている。ラスターは自分の後ろを見た。ナナシノ魔物退治屋拠点の家が普通に建っている。続けてラスターは時計を見た。朝の六時半。
……六時半だそうだ。
「おはよう、ラスター」
「早いねぇ」
ラスターは土を撫でながらシノの声に応えた。
「朝食も食べるか?」
「軽く済ませてきたわ」
「そう? 今うちの専属シェ