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書評とは到底呼べない〜本との対話〜

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読んだ本や観た映画の感想を書いていこうと思います。 本の内容ではなく、なるべくなら、その本を読み連想されたことや、その時に感じたことを書いていきたい。
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2018年11月の記事一覧

「父と村上春樹」

「父と村上春樹」

週に一度、父と何時間もお話をするのだけど、昨日は午前3時まで話した。還暦を迎えて一年の父は読書家で、現在もなお一日一冊のペースで本を読んでいる。しかし、父は昔から文芸小説を読まなかった。
「小説は、書き手の頭の中に入って、書き手が組み立てる世界観や論理、言葉に付き合わなくてはならない。なぜ、そんなことをわざわざしなくちゃならないのかわからない」とのことだ。

昨日、私がたまたま村上春樹と村上龍を比

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『まんしゅう家の憂鬱』

『まんしゅう家の憂鬱』

結局、本屋さんにトータル二時間はいた。

まず、地元の駅直結の本屋さんに入り、読みたい本を物色。
そう、今日は鞄に一冊も本を入れずに飛び出してきてしまったのだ。
家には、読むべき本がたくさんある。これでは、積ん読本が増える一方だ。それでも、いま、本がほしい。中毒症状か? それに、ほら、本って、いくらあってもいいものでしょう。無意識ではあるが、わざと本を持たずに出てきたのかもしれない。でも、いいんだ

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『500日のサマー』

『500日のサマー』

ずいぶん前に観たので、うろ覚えなのだけれど、とりあえず振り返ってみよう。

主人公・トムは「運命の恋」を信じていた。
対して、サマーは信じていなかった。

だけど、トムと別れてサマーは恋をする、それも運命的な恋を。

私は思う。
それは結局、トムがサマーに「運命」を感じさせたってことなんだと思う。

まるで、絵本の『100万回生きたねこ』(佐野洋子著)みたいだ。

トムの運命の相手は紛れも

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『数学する身体』

『数学する身体』

友人の名はH。
最近、国立大学を卒業した麻酔科の医師。研修もあけ、とりあえずの専門を麻酔科にしたらしい。
私の十年来の友人だ。

Hが90にもなる祖母が入院しているということで見舞いに行った際、私の勧めた書籍を持っていると、それを見た祖母が「見せてみな」と、その本をパラパラと読み始め、ついには最後まで読んでしまったという。

本の名は、『数学する身体』。
第15回小林秀雄賞を受賞した作品だ。

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『ねむたいひとたち』

『ねむたいひとたち』

こんな本、見たことなかった。

とっても小さいのだ。
びっくりするほど小さい!
(みなさん、書店に行き、見てください!)

(右下:『ねむたいひとたち』)

一目見て、
まぁ、なんてかわいい本なんだろう。
そう思った。

見て、かわいい。
手に取って、かわいい。
読んで、かわいい。
もうずっとずっと、かわいい。

家に帰るまで、何度取り出したことだろう。
何度見ても、かわいい。
かわいい、すき。大

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『死ぬこと以外かすり傷』

『死ぬこと以外かすり傷』

注目の若手編集者、幻冬舎の箕輪厚介さんの本だ。

うん、おもしろかった。
ラクラク一時間で読める。
箕輪さんの編集する本は、『多動力』など読みやすい。
インタビューをもとに、それをライターがまとめるというやり方だからかもしれない。

まるで目の前で喋っているかのような錯覚に陥る。疾走感がすごい。
この手の本は、右耳から左耳へと流れてしまうことも多いが、それでも、グッとくる箇所はたくさんあった。

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『あしたから出版社』

『あしたから出版社』

二度と読みたくない。
もう二度と読みたくない、と思う本がある。

一度読めば十分、という意味ではない。
二度読む価値のない本ということではない。

むしろ、逆だ。

「お腹がいっぱい」で、とりあえず、今はもう読みたくない、触れたくない、と思える本だ。

回りくどいが、本当は何度でも読みたい、ということなのだ。
そうはいっても、そういう本は、そう何回も読むわけではない(どないやねん!)。

そういう

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