見出し画像

子どもの保育園で保護者の不満に同じ保護者として噛みつきまくった話

保育園の方針に不満を持つ一部の保護者を真正面から煽り散らかしましたという話である。
意見の対立もある話なので思うことはその人それぞれだと思うが「私」が感じた事をつらつら書いてみた。


ちょうど去年の今頃だろうか、保育園から唐突に1週間後に懇談会を開くので可能な方は参加してくださいというような旨のお知らせを頂いた。
いつもなら1,2ヶ月前からしっかり予定を組んで知らせてくれるのに珍しい、と内心首を傾げた。
まぁ年末だし、進級に向けて来年から何か持ち物が変わるとかそういう話かな〜?くらいにしか考えずとりあえず行くか、程度に決めてそのお知らせをテーブルに置いた。

そしてお知らせをもらった翌日から、子どもが謎の高熱を出した為全く登園しないままその日は迫ってきた。
子どもは幸い熱を出したのは2日程度で会の当日も家のソファで飛び跳ねて遊んでいたので父と母に任せ、呑気に保育園に向かった私は会場となった教室の異様な空気にビビりまくった。

並んでいる椅子の、前列ではなく後ろ2列を占領してるママ達がめちゃくちゃ怖い。
子ども用の小さな椅子に座って器用に足を組んで腕も組み、やたら態度がでかい。
マジ?何?これ何?と思いつつ前から2列目あたりの中央あたりに意味もなく背筋を伸ばして座った。

そして更にビビったのだが園長を始め担任の先生達がジャケットを羽織ったり、なんだかよく分からないがかしこまっている気がする。

(これは…来年の持ち物の話じゃない…!?)

教室に入って5分後にようやくこれが緊急で用意された話し合いの場であることを理解した。

会が始まり、園長先生から今日の会のめあてと経緯が説明された。

まず前提として今年度より市の保育園に対する保育の方針が変わり、子どもたちが主体的に考える力を伸ばすことを重要視する方針となった。
今まで行っていた日々の練習をお披露目するような運動会や発表会はなくなり、普段保育園でどのように過ごしているのかを見てもらう事を目的としたイベントとして保護者と子どもが一緒に普段の遊びを体験する期間を設ける、といった内容に変わっていく、と。

この内容については昨年度の段階で説明があったのでふんわりとではあるが知っている内容でそうだよな、そういう説明あったよな、と内心頷きながら聞いていた。

(12.4追記
お世話になっているこの保育園は市の公立保育園なので市の保育方針の影響が直に降りてきます。
民営の保育園はまた違うかもしれません。)

そして今はイベント期間を来月に控え、約1週間の期間の間で事前に保護者は期間中の1日を選んで保育園に伝え、その日が来るのを待っている状況だったはずだ。私もなるべく来る保護者が少なそうな平日を選び、園に伝えていた。
(この会が持たれた去年の今頃は新型コロナウィルスの感染状況は落ち着いてはいたものの、なかなか不安定な状況だったのでなるべく人が少ない時に行こうと考えたのを覚えている)

だが一部の保護者よりイベントの内容が分かりにくい、今までのような運動会や発表会を行って欲しいという要望書が出されたので今回の話し合いの場が持たれた事、そしてここで出た意見をもとに園で検討したいという事だった。

なるほど、とここで察した。
後ろ2列に徒党を組んで座ってる態度がでけえ保護者がその要望書を出した人達だな?と。

イベントの内容が分かりにくいとは、確かに私も思った事である。「子どもたちのやりたい事をその時にやります。こんな遊びを今しているからタイミングが良ければ見れるかも!」と言うことが前面に出ていたのでどんな事が行われるのかいまいち分からないイベントだな、と感じていた。
しかし保育の方針が変わって初めての年ならこんなもんかな〜と呑気にしていたのだが保育園最終の学年の子たちの親や上に子どもがいて、今までの運動会や発表会に慣れている親の中にはこれが保育園最後の年の思い出になるの?上の子たちはあんな事やこんな事してたのに??と納得できない人もいたのだろう。

経緯を説明された後、それでは保護者の方々の意見をお聞かせくださいという園長の進行により保護者の意見が噴出したのだがまぁ〜中々だった。
「イベントの内容が分かりにくい」から始まり、「発表の場を経験する事で得る達成感を切り捨てるのか」「こんな何も考えていないようなイベントをやる事で先生たちは何を得るのか?」等まぁ分かる、と思うことからそれは分からんと言う事まで喧々轟々だった。
ざっくりと書いているが実際はもっと強い言葉と嫌みな含みを持たせた印象のある言葉で、ちょっとそれはどうなん?と思うような内容だった。

今までと同じように運動会や発表会など、変わらずに実行して欲しい保護者の言葉がだんだん荒くなる中、私は息苦しくなってきた。(いやいやいやいや、何も考えてないわけないじゃん…ええ〜そんな事まで言う???)と戸惑いの嵐だった。

粗方保護者側の意見(というより不満)が出尽くしたかな、というタイミングで園長先生の「…他にご意見はありますか?」の一言に挙手をした。
考えが何もまとまっていなかったが、とにかく今まで通りを望む保護者ばかりではないと手を挙げた。

私は保育園というものは、保育士の先生たちが親に代わって日々を安全に、楽しく過ごす事を支援してくれる場であると考えている。
水彩絵の具で遊びたいという子どもの希望があれば用意してくれ、ハサミを使って工作したいと言えば怪我をしないように安全に配慮してくれる。
親ですら面倒に思うような事に根気よく付き合ってくれて、お友達同士が仲良く過ごせるように、危険なことが起きないように常に気を張って見てくれる場であり、常日頃小さくではあるけど雲梯ができるようになっただとかハサミが上手に使えるようになったとか達成感を得ながら成長してくれていると思う。
保育の方針が変わった初年度で先生たちも暗中模索の中、そして新型コロナの流行で気をすり減らしている中で運動会もしろ、発表会もしろ、でも感染はしない安全な方法は大前提だよ、というのは無理があるのではないか。
子どものことを任せるにしても、親が家庭で努力できる事や協力をするべき事があるんじゃないか。

という事を言いたかったのだが、どん詰まりを起こした私の脳はとてもシンプルな考えだけを口から出してしまった。

「あの、大きな達成感を得たいんだったら発表会のある習い事に行かせれば良いんじゃないですか。」

後ろ2列に座る保護者を敵に回した瞬間である。
やっちまったな感が半端ない。

やべえと思いつつ上に書いた考えをつっかえながら話し、ついでに
「私自身他の自治体で職員をしていた経験があります。上から“今年から国の政策でこういう方針になるから策定と進行よろぴくね★”で新制度故に参考になるような事例もない中で条例制定やら何やらと頭を抱えている上司や先輩方を目の当たりにしてきた人間です。先生たちも日々保育をしながら新しい方針故に出てくる様々な課題をクリアしなければならない中で、保護者からはそれに反発されてしまうっていう板挟みは負担が過ぎるのではないかと私は思います。保育園から帰った子どもの話を聞いて、先生たちが日々どれだけ子どもたちに楽しく過ごしてもらおうと工夫しているかは少しは分かっているつもりです。
初年度だからうまく行かないのは当たり前で、ここからどう工夫していくかが“今”だと思うので、私たち保護者ももっと一緒に考えていく必要があると思います。」と見事に不満を持つ保護者を真正面から煽るような内容を続けた。

背後から小さく「はぁ〜?」と聞こえてくる中で、先生たちが壊れた水食い鳥みたいに高速で頷いてくれる様子だけを心の頼りに言い切った。

正直に言うと、この意見には私の私情もかなり乗せられている。
単純に後ろで椅子に足を組んで態度悪く座る保護者たちが気に入らなかった。不満があってもそのような不遜な態度をして良い訳ではない。
相手の立ち位置を考えずに強い言葉で意見を言えば園が折れて要望が通るような勢いに持っていける空気にしたくなかったのだ。
つーかあんたらが出した要望ならあんたらこそが前に座って積極的な姿勢を見せてくれよ。

そんな事を思いつつ
「コロナという、ここ経験した事のない事態の中でも変わらずに保育してくださる先生達…ほんと…あざす…」と言い切った後の気まずさよ。
誰も何も言わない。やばい気まずい。私のグダグダした話に皆呆れてるだろうか。

焦りと不安が最高潮に達した時、園長先生が「様々な意見をお聞かせ頂きありがとうございます。時間も来ましたのでここで一区切りとさせてもらいます」と締めたことによりなんとか「来年度からの持ち物等についての説明だと思って参加したら地獄だったでござるの会」が終了した。

会が終わった私は後ろの保護者に顔を見られたくないというなんとも弱気な理由で担任の先生のもとに駆け寄り、担任が「ありがとうございます」と言い切る前にとても大きな声で「子どもはもう3日前には平熱になりました!保育園になんで行けないんだって床に大の字で大暴れしてます!!月曜からは通えると思うのでよろしくお願いします!!!」と宣言した。先生は笑ってくれた。

まぁそんな感じでなんとも不穏な時間を乗り切ったのだが、意見が違うママ達と帰りが一緒になることは避けたかったのでなるべく素早く園を後にした。
もし絡まれても「はぁ〜?余程お暇なんですね??」と言えるように口先の準備と、血管の短いママに掴まれようものならとレスリングで経験した相手を素早くタックルしてネルソンをかける手順を頭の中で繰り返し唱えていたがどちらも使う事なく、というか私をいないものとして大声で不満を囀り合うママ達の間をサーっと通り過ぎた。

今思えば声を大にして不満を漏らす人よりも私の方が余程やべえ奴だったなと思うが、当時はそれほど緊張していたのだ。

家に着けば子どもがソファの上で腹を丸出しにしながらテレビを見て笑っていた。
私は運動会や発表会が無理して開催されるよりも、この子が日々楽しく保育園に通ってくれればそれで良い。泥団子を顔に投げつけられて「わー!うんこ顔につけてるぅー!」と笑われ、服を無理に引っ張って破くような「お友達」に遭遇した私のような経験をしなければそれで良いと思う。

結局この、話し合いの場まで持たれたイベントだがその後新型コロナの感染再拡大により中止という結果で終わった。正直安心した。
そしてその後1年の経過を経て先々月に行われたイベントは保護者も一緒になって綱渡りをしたり、体を思う存分動かして遊ぶという運動会特有の場所取り合戦もなく個人的にはとても楽しいイベントとして開催された。

この一年で先生たちが考えに考えただろう「親子一緒に楽しく保育園の遊びを体験する」イベントは今までとは違うだろうが、とても良いものだと思った。

おわり。


ーーーーーー
とまぁなんか自分かっこいいだろ的な話になってしまったのだが当時の揉め事の解決方法として「は?暇なんだな?」と煽ること&「いざとなれば正当防衛という名の暴力」にしか考えが行かなかったので自分の小ささを思い知った出来事だった。
ある意味会の後で私に絡んでこなかったママ達こそが大人だったのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?