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なぜ増えない!?子供3人世帯に立ちはだかる壁とは何か?

政府が異次元の少子化対策でまた一つ勝負手を繰り出した。それが子供が3人以上いる世帯の大学学費無償化である。本格的な制度開始は2025年からを予定しており、なんと所得制限もなしだ。以下に政府が少子化対策にガチンコなのかを感じさせる。

流石に医学部の学費を全額免除!とまでの大盤振る舞いは難しいであろうことから、一般的な私立文系、理系の平均的な学費補助が条件になるだろうが、それでも物凄い額の補助金である。もし子供3人が私立の理系に進学した場合、国からの補助金は1500万前後となる。インフレに苦しみ中々貯蓄を増やせない子育て世帯にとってはまさしく福音である。

文部科学省:大学の学費平均


少子化対策には大きく分けて2種類ある。1つが『非婚化対策』であり、既婚者を増やし子供の数を0人から1人に増やすことを狙った政策だ。そして2つ目が『子育て支援』であり、これはすでに子供のいる家庭に新たに2人目、3人目を授かって貰う政策である。

少子化が叫ばれる昨今であるが、実は子育て世帯が育てる子供の数は1987年のころからほとんど変わっていない。変化が大きいのは子供が1人以下の世帯の増加、子供が3人以上世帯の減少だ。

厚生労働省:2002年を境に子供3人家庭は減少し2015年時点で一人っ子世帯以下に

以前は子育て世帯3組に1組は子供が3人以上いたのであるが、その数は年々減少し、今や5組に1組まで少なくなっている。それに反比例して子供が1人、もしくは0人の世帯は12%から25%と倍増している。今や3人以上の子供がいる世帯よりも子供が1人以下の世帯の方が多くなってしまっているのだ。

この流れを打破するために打ち出されたのが今回の子供が3人以上いる世帯の大学授業料無償化である。子供がすでに2人いる世帯に対して『もう一人、作っちゃえよ』という政府からのメッセージがこの政策に込められているのだ。

そして今回の政策ではターゲットとなる層もはっきりとしてる。それは都会住みで金銭的に余裕があり、子供の教育にも熱心な大卒共働き世帯である

夫婦でしっかりと働き金銭的にも3人目を作る余裕はあるものの、子供たちにかかる教育投資を考えた結果、子供の数は2人までとしているパワーカップル。そんな層に対して政府が学費は国が持ってやるから3人目を作れと呼びかけているのである。

もちろん地方の子沢山マイルドヤンキー層の取っても今回の政策は非常にプラスではあるが、彼らはそこまで子供達が必死に勉強して高学歴になる必要もないと考えている。そしてジジババ・クアッドへプルを活用し放っておいても3人目を作る。マイルドヤンキー家庭は今回の政策がそこまで刺さる層ではないのだ。

今回の政策は子供を2人持つ子育て世帯や、結婚したばかりの若い世帯には非常に大きなインセンティブを与えるものであり、もちろん少子化への対策としてはプラスの効果をもたらすだろう。

しかし、この政策だけで子育て世帯は3人目をモリモリ作るのだろうか?と言われれば、筆者は残念ながら”No”と答えざるをえない。3人目の子供を作るということに対しするハードルは実は金銭面だけではないからだ。

日本に子沢山家庭を量産するために越えなければならない高い壁があと3つ存在するのである。

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