webライターで飯食えるまでの話:前編
webライティングの単価って、ひどいところだと文字単価0.1円とかありますよね。1,000文字書いたって100円。1,000文字書くのなんて早くても10分はかかるから、多くて時給600円ですよ。
フルタイムで働いても一カ月96,000円…ひどすぎる。これじゃ食えない。
でも、私もそんなところから始めました。書いても書いても低収入という絶望。将来の希望なんかまったく見えず、家賃やインフラ代の支払いに怯え倒した時期がありました。
とはいえ今はwebライティングで飯を食えています。前編では低単価を脱出できた経緯、後編では高単価案件・時給制案件の獲得に至るまでを書きたいと思います。
低単価案件に絶望
前職が多忙すぎて疲弊したというのと、大好きな文章を書くことで飯を食いたいという思いから、フリーランスになろうと決意。前職で物を書くことに携われたというのもきっかけではありました(Webライティングではなかったけれども)。
独立するにあたって真っ先に考えたことは「税金怖いよー嫌だよー」でした。開業届を提出したのは2017年8月。開業届出して青色確定申告を選択すると、65万円控除してもらえるからです。簿記はメンドイけど。
しかし、フリーランスになった時期が悪かった。夏休み前くらいのタイミングだったもんで、発注側がみんな休んでおる。クラウドソーシングで募集中の案件は、夏休みなど関係なく動いている、つまりブラック臭しかしないものが大半だったわけです。
探せど探せど、初心者ライターが応募できる案件なんて文字単価0.1~0.2円ばっかり。やる気が起きなさ過ぎて、しばしの間は何も応募せず、前職からの仕事の一部を業務委託で請けてしのぎました。(なんだかんだで、その仕事は1年くらいやりました。)
今にして思えば、そういうの調べてから独立しろよって話なんですけど、当時は若かったのでノリと勢いを優先してしまいました。
初仕事は文字単価0.2円だった
絶望してたって何か書かないことにはwebライターを名乗れません。もうヤケクソ。とにかく銭がないと死ぬので前職からの仕事を請け負いつつ、副業的なスタートになりました。
Webライターとしての初仕事は、文字単価0.1円くらいのトライアル、本採用で10,000文字2,000円の案件(文字単価0.2円)。まぁ初心者オブ初心者だし、まずは実績作らないといけないから応募しよう、で始めました。
本採用に至りましたが、低単価なので書けども書けどもジリ貧です。とはいえ、クライアントさんの性格というかご対応はとても良かったので、なんとかかんとかやっていました。テーマがわりと趣味に近くて、書くのが楽しかったからというのもあります。
ジリ貧なこと以外にも色々大変なことはあったんですけどね。色んな葛藤が。キーワード入れれば良いってもんなのか、小説大好きな人ほどwebライティングに慣れるのキツイ説あるんじゃないか、とか。長くなるので、それはまた別で書こうと思います。
文字単価0.7円~のメディアに採用いただいた
0.2円で四苦八苦の1カ月が過ぎるころ、クラウドソーシングサイト上で、文字単価0.7円~のメディアさんからお声がけをいただきました。
おそらくは大量送信のスカウトの1つだったのだと思いますが、すぐ応募、テストライティングを受けました。何を書いたかは覚えていませんが、絶対受かりたいという気持ちだけは強かったように思います。何度も読み直して修正、提出。
無事に採用に至り、0.2円の仕事と0.7円の仕事が半々くらいになりました。
0.2円の仕事を辞めた
数カ月が経つころには、求人に直接応募した案件(クラウドソーシングサイト以外)を含めて、4社の仕事を受注していました。
業務量的には余裕があったのですが、それぞれ執筆ルールが異なるため、脳の切り替えが結構大変。前職からの仕事も合わせると、わりと多忙でした。
仕事をちょっと絞った方がいいかな、と思っていた矢先、0.2円の仕事を辞めるきっかけが訪れます。「真偽不明の情報を出しちゃうメディアになっちゃった」からです。キーワード重視の。
構成に記載の見出しからして「それ断定表現で書くのは危険では?」と思うものが増えてきました。実績とお金を重視して割り切って書いちゃってもよかったかもなんですけど、ものすんごい抵抗がありました。
そんでもって、断定表現は避け、注釈を盛り込んで提出したところ、まぁ見事にリジェクトされました。無念。
ライターデビューの実績になったこと、丁寧なご対応をいただいたことには感謝しつつ、継続できない旨を伝えました。先方も断る理由に納得してくれたため、とくに問題なく解除となりました。
悪くない決断だったと思う
今となっては、記事の質がSEO的にも重視されるようになったので、良い決断だったと思います。キーワード詰め込んでおけばいいじゃん的な記事はキツかったから…。
それに1社の仕事がなくなった分、他社さんの仕事を多く引き受けられるようになって、収入はむしろ上がったんですよね。そこからさらに仕事を選んで2社に絞りました。
各社における実績が増えていったので、編集部内での評価が上がり、2カ月経過する頃には文字単価を引き上げてもらえました。これは嬉しかったな。
手当たり次第に仕事もらうより、特定の会社・メディアさんで実績を増やすのが大事かもしれないなと思い始めました。執筆ルールの把握のために脳を切り替える労力を減らせるという効果もありました。
しかし、この考えはメリットもある一方で、クソデカデメリットもあることが後からわかります。その話は後編で。
評価を上げるために意識したこと
webライティングに慣れたころから、次のポイントを意識して仕事するようになりました。
正しい日本語を使う
文章の流れ、リズムを重視する
参考資料の出どころ、内容を重視する
構成の内容を鵜呑みにしない
フィードバックに大感謝して意欲を示す
プラスアルファの提案をする
正しい日本語を使う
当たり前の話なんですけど、ライターを自称している以上は正しい日本語を書けないとダメだなと。不自然な日本語によって、読み手の視線移動が止まらないように意識しました。
最初のころはすべての記事で何度も音読したりwordに貼って誤字脱字チェックしたり、かなり慎重にやっていました。慣れてくると頻度は減りましたが、今でも初心に戻るべく、定期的にやるようにしています。
文章の流れ、リズムを重視する
この部分はかなり重視してます。具体的には次のようなこと。
「です」「ます」を、できる限り2文以上で連続させない
適度に句読点を打つ
音が似ている言葉を近いところに置かない
記事全体のストーリーを意識する
1つ目は執筆ルールにも記載されやすいポイントですね。2文なら頻出しない限り許容されるケースがほとんどですが、3文続くと確実に読みづらくなります。句読点の数やバランスを意識するのも同じような理由です。
また、音が似ている言葉を近いところに置くのも極力避けます。韻を踏んでラップみたいになっちゃうと、読者の気がそれがち。内容よりも音に意識がいってしまうんですよね。
記事全体を通しての満足感を覚えてもらうためにはストーリーも大事です。とくに、なんの脈絡もない商材へのリンク。萎えポイントです。ただ、ここを説明するとすごい長くなるので、別の記事で書きたいと思います。
ともかく、ここらへんを意識して書いた結果、「あなたの記事はすらすら読める」と言っていただけるようになりました。
参考資料の出どころ、内容を重視する
医療・不動産・金融・化粧品など、情報の正確性が重視されるジャンルのときは、とくに注意していました。官公庁の公式資料や論文を読むことも少なくありません。
また、納期と照らしつつではありますが、できるだけ数多く読みます。相反する見解が出てることもあるので要注意です。どちらとも言い切れないときは言及を避けるか、注釈を加えるよう心がけました。
「記事の質が高まる」と評価いただいているポイントです。これが功を奏して、リライトの発注や新規メディア立ち上げの仕事がかなり増えました。
構成の内容を鵜呑みにしない
当時は、クライアントさんが提供してくれる構成をもとに執筆する仕事が大半でした。ペルソナ・主旨・見出しが決まっていて、各見出しで書いてほしい内容と参考資料まで記載してある親切な構成です。
しかし、構成を鵜呑みにして書くことはしません。自分でも調べ直し、納得してから書くというのを徹底的にやりました。
調べ直すと「諸説あるっぽいぞ」「解釈が違うんじゃないか」「この表現は誤解を招くのでは」など、気になることがしばしば。そういうときは、すぐさま資料を揃えてクライアントに確認をとりました。
ウザがられることもありましたが、経験上、「まぁいいじゃん、そんな細かいこと」というメディアさんは長く続きません。
これを続けた結果、構成から執筆まで一貫して依頼いただくことが増えました。自分のためにも、やって損はないことだと思っています。
フィードバックに大感謝して意欲を示す
フィードバックに対しては、大感謝の姿勢をできる限りの言葉を使って表現してました。
具体的には
「~~の部分、大変勉強になります!ありがとうございます!!」
「こんな素敵な表現もあるのですね!私もこういう文章が書きたいです!」
「とんでもなくやらかしており申し訳ございません。お恥ずかしいです。」
という感じです。最後のやつは、ある程度仲良くなったときに使いました。
要は「あ、こいつはちゃんと学ぶ姿勢があるな、よろしい」と思ってもらえるようにするってことです。もちろん次回にはちゃんと反映します。
フィードバックに反論したり、不快感をお示しするなんてもってのほか。編集者の立場になってみれば「ありのままの私を受け入れないお前が悪い!」って言われてるようなもんです。そりゃムカつくよね。
ただ、フィードバックに反抗するのと信念をもって書くのは別物と考えてます。たとえば「芸能人の根も葉もないうわさ話の記事をまとめてください」って言われて「それは芸能人さんに失礼なので嫌です、お断りします」って言うのは反論とかじゃないし、むしろやるべきだと思います。
プラスアルファの提案をする
基本的にはいただいた見出しに沿って執筆しますが「前段でこの説明を入れておいた方がわかりやすいだろう」と考えたときは、小見出しなどを追加して書き加えておきます。
これをやるときのポイントは、勝手に追加した小見出しを丸っと削除しても、記事全体の前後関係・ストーリーに支障がないように工夫することです。
そのうえで、編集さんに「こう思ったのでここを追加しました。削除しても前後に支障はありません。お任せします」といったニュアンスでメッセージを送ります。
そのまま採用いただくこともあれば、「文章量的に削除するけど大事なことなので、さらに詳しくした別記事にしたい、内部リンクを貼ろう」と言ってもらえることも結構あります。追加受注につながるので、やって損はないかと思います。
特定のジャンルを任されるようになった
資料を読み込みまくっていたので、いくつかのジャンルの知識がついてきました。そうすると、次のようなメリットがうまれました。
執筆速度が上がる
情報の正確性が増す
クライアントの安心感が増す
だんだんと「このジャンルはこの人に任せたら大丈夫」と思ってもらえるようになりました。そして、文字単価がさらに上がります。執筆速度アップと合わせて、時給換算2,000円くらいになっていきました。
月160時間フルタイムできるほどの受注数ではなかったので月の売上自体は30万円もいきませんが、ライティングだけでご飯を食べていけるようになりました。webライター2年目に入ろうかという頃のことです。
前編はおしまい
ここまで見ると順調だったのですが、とんでもない落とし穴に出くわす羽目になります。業務委託という恐ろしさの実感、絶望のキャッシング、えげつない焦燥感を抱えながらの現実との葛藤などなど。
上記のような落とし穴を脱して生活が安定するまでの話は、後編で詳しく書こうと思うので、読んでいただければ幸いです。