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webライターで飯食えるまでの話:後編

後編です。地獄期と絶望キャッシングの話に始まり、再起するまでの話を書きます。

地獄期がやってきた!

メンタル的にも収入的にも、結構順調だなと思っていたある日。突如として地獄期が到来します。

クライアントとの関係は良好だったにもかかわらず、発注数が激減したのです。取引先2社に理由を聞いたらぶったまげました。まさかの2社同時に「お仕事獲得期間」に突入するとのこと。

つまり、メディアさん自体はパワフルに稼働中なんですが、既存記事が稼いでる間に新規案件やりましょう、ってタイミングになったよって話。立ち上げオブ立ち上げのときなんてライターの仕事はないもんね。

一応既存メディアの発注もあるんですが、前月に比べると格段に少ない。1カ月に欲しい金額には、これでは到底届かないぞという事態に陥りました。これが前編で触れた、取引先数を絞ることによるクソデカデメリットです。

1社あたりへの依存度を高めてはイカンな、と大いなる反省をしました。とくにタスク制で請け負ってる場合は、こういうことがある。

気合の連続求人突撃からの詰み

このときの私の思考は、本当に名前のとおりポンコツなので、数撃ちゃ当たる戦法一択でした。ほどほどに文字単価が高い募集に応募をしまくりました。1つでもひっかかればいいと。

これ失敗でした。いや、失敗というと大変失礼な話なんですけども、ありがたいことに全部受かってしまったのです。詰んだ。

こちらから応募した手前、断る度胸なんかこれっぽっちもない。ましてや仕事が激減する恐怖に苛まれていた私は「やるっきゃねぇわ」でやってみちゃったのです。詰んだ。もとより体力クソザコ人間なので、ボロッボロになりました。

心臓変だし足重い

なんか心臓がペコペコするな? 足が鉛のように重たいな?
と思いながら、指先と頭だけが全力疾走している日々を過ごしまして、見事に病みました。あれがどれくらいの期間のことだったのか、記憶が曖昧です。唯一覚えてるのは「寝れてなかった」ってこと。

大変ごめんなさい土下座回りと小休止

結局、そんな毎日が続くわけもなく、体の節々がボロッボロになり、頭も働かなくなりました。頭が働いてないので指も動きません。

追加発注を断って回る(土下座スタンス)羽目になり、収入も下がり、夜がくるたびに「人生おしまいだー!」という気持ちになっていました。

絶望キャッシングと別れ話

わずかな収入と多少の貯金とにらめっこしながら暮らし、いよいよ次月で引き落としヤベェなとなりました。

このまま餓死…はアパートの大家さんに迷惑だし、山林に行くのも各方面に迷惑だし…なんてことが頭の中を駆け巡っていました。実家に帰るっていう選択肢がないのが、なかなか詰みゲーなところ。

ここで自分でもすごいと思うのが「外に働きに行こう!アルバイトでもいいから!」にならないところなんですよ。すごいよね、ほんと。外で働くくらいなら死ぬという意味不明な思考。

強いていえば、大学生のときがしゃかりきアルバイターで(学費の野郎)、就職後もしゃかりき激務で、外出るのマジで嫌だったんだとは思います。いやそれにしても極端。わからん。

そして何を思ったか、キャッシングを決意するのです。30万円。いや、なんかこう、来月か再来月かの自分が頑張ってくれると思ったんじゃないですかね。そこまで考えてたかどうかもわかりませんけれど。とりあえず、死にたくはなかったんだろうな。

そして当時の彼、現夫なんですが、結婚の話も出てたのでダマで借金するのはなんか違うなという、そこだけ常識人みたいな発想になり、その発想が飛躍して別れ話を切り出しました。彼の足枷になるようなことにしてはいけないという一心で。

一心しかなかったので「なんか別れたい」っていうすごい雑な別れ話をしました。ライターのくせに、さもありなんなストーリーを作れんのか貴様はと後から思いました。

さすがに理由が雑すぎて、彼は「???」となり、なんだか知りませんがそのあと2人でサンマの塩焼きを食べて満足して寝ました。だからたぶん、あれは秋のことでした。

寝たらすぐマトモになった

サンマ食べて寝て起きたら、頭がすっきりしてました。何だか知らないけれど、大丈夫な気がしてきたんです。サンマのパワーなのか、ぐっすり寝たからなのか、よくわかりません。

そしてちょうどいいタイミングで、長くお付き合いのあったクライアントさんからの仕事が復活しました。しかも新規メディア立ち上げ直後の記事量産要員になり、高単価記事依頼がいっぱいある状況。

で、「これは金借りても返せるべなぁ」と思い、支払い待ちの一カ月分プラスアルファとして、結局30万円はキャッシングしました。クレカ万歳!

よくわからないうちに乗り切ってた

頭がマトモに戻ってから普通にライティングの仕事をして、キャッシングしたお金も2カ月だか3カ月だかで返しました。

彼からは「あの別れ話マジでなんだったの…」と言われました。なんだったんだろうねと返しました。メンヘラクソザコ人間でごめんと思いました。

途端にハッピー人間・高時給

お金の不安だけは人一倍強い気がしますが、逆にそれ以外の悩みが本当に全然ないというかすぐ忘れるというか、頭の中の割合的に小さいので途端にハッピー人間になりました。

一応、反省を活かして仕事とりまくるみたいなことはやめておきつつ、取引先を1社増やしました。半年間すごい頑張って書いたら「編集者にならんか」と声をかけてもらいました。お高めの時給がもらえる!!

ハッピーオブハッピー人間になりました。

ハッピーはすぐ終わった

そのメディアさんは、当初は記事の質を重視する方針でした。ライターの育成に力を入れていて、私もライターとして入ったときは、とても多くのことを勉強させてもらいました。充実していると感じました。

編集者になってからは、ライターさんを育成する立場になりました。ものすごく丁寧にFBを書いて、良いところをたくさん褒めて。自分がしてもらって嬉しかったことをお返しする番だと思って取り組んでいました。

ライターさんからも「こういうFBもらったの初めてで、すっごい嬉しいです!」と言ってもらえました。とても嬉しかった。

しかし、しばらくすると、どうも私は編集部から「ライター製造工場」とみなされ始めたようなのです。

やっと育て上げてほとんどFBを返すことがなくなり、これから楽ができるぞと思うとすぐに、そのライターさんが他の編集者さんにあてがわれるようになってしまいました。

育ててはとられ、育ててはとられ、何人も何人も奪われ続けました。そして私の元にやってくるライターの質が…ちょっと言い方悪いんですけど、どんどん落ちていきました。

他の編集者さんが匙投げたライターさんの、押し付け先というポジションになったんです。そして、私でもどうにもならないと、契約を切るというサイクルが勝手に回り始めていました。

さらに、新規採用するライターさんの質も、以前と比べて格段に落ちていきました。この時点でその理由はわかりませんでしたが、とにかくシンドすぎクソワロタでした。

メディアの方針転換で辞めることにした

質の低いライターさんって、学ぶ気がないんですよ。前編で書いたように「ありのままの私を受け入れてくれないお前が悪い!」スタンスなんです。私の文章が正しくて、指摘するお前がおかしいっていうね。

それでも仕事だからFB書きます。なんなら、より一層、しっかり丁寧に。そして、毎度毎度同じFBを書くことになります。ずっと直らないから。

嘘も妄想も平気で書いてくる。たとえば、「このリンゴは赤色です」という情報しかないのに「これは甘くてみずみずしいリンゴです」と書いてくる、というくらいの嘘と妄想をちりばめたファンタジー小説みたいなやつ。情報メディアやぞ…。

なぜそう書いたのですかと聞けば「そう思ったからです」と返ってきました。ぎょえぇええ。おったまげ。

そんな人ばかりを数人抱えて、FBにかかる時間が膨大になっていたある日、就任したばかりの新編集長から「あなた、効率悪いね」と言われました。私からぶんどったライターさんを抱えている編集者の提出本数を引き合いに出され、足りてない、と。まぁね、これはいいんだ。成果主義はわかる。

しかし、それと同時に「嘘の情報があってもいいから。とりあえずアップしてクレーム入ったら直せばいいの。本数上げて。」と言われたのが、糸切れた瞬間でした。

メディアの方針が変わったことを理解しました。採用するライターの数が急激に増え、平均的な質が低くなっていたのも、これが理由だったのでしょう。辞めました。

文字単価上がる!

上記のように編集者してた時期はあるんですけど、フルタイムではなかったので他社ではライターとしての仕事も継続していました。そして、結局そちらの方で文字単価がガンガン上がっていってたんですよね。

編集にあてる分の時間がかけられないため、本数こそ少なめに受けてたんですが、だからこそ「このジャンルはこの人」という案件を厳選して発注してくれていました。神クライアント。

神クライアントに失礼ぶっこくわけにいかないので、仕事の質も自然と高くなります。記事の品質をわりと高水準で維持できたようで、評価を上げていただき、高単価でお仕事をもらえるようになりました。詳しいジャンルだったのもあって時給にして2,500円くらい。

寄り道。

それからしばらくして、ライター以外の仕事が緊急で入りました。単発のつもりが延長からの延長となり、ライターが本業とはいえない時期があったりもしました。

その延長がいつまでになるかわからない、次の仕事を入れづらい、なくなったとき、すぐに次へ動けるかな。仕込みをどうする?という不安がありました。これが業務委託の恐ろしさというものか、と実感しました。

本格復帰・高時給案件へ

寄り道で得た経験やら知識やらもありつつ、しかしやっぱりライティングが一番好きだなと思い、ライターに本格復帰。この道で食べていこうと覚悟を決めて、安定収入を目指しました。

神クライアントのお仕事はありがたく頂戴しまくってますが、タスク型なので安定的とはいえません。そこで、時給制のお仕事を探しました。そのときの書類選考やら面談やらで、寄り道で得たプレゼン能力が功を奏しました。

そして、過去と同じやらかしをします。
数撃ちゃ当たる戦法全ヒットリバイバルです。

でも、それなりにライターとして経験してきて、うまくやれないことはない時間配分と物量ではあったので、冷静な判断のうえで全受けしました。詰んでません。

私生活ともに結構ハッピーになった。

超絶駆け足で終わるんですが、なんやかんやあって、結婚したり家庭菜園(プランターだけどね)したりして楽しく暮らしています。

それでもたびたび「働きたくないよぉおおおお」って喚き散らかしたりはするんですけど、寝たらマトモになるって学んだんで、今は大丈夫です。ご飯もちゃんと食べるようになって、ちゃんとおばちゃん体型になってきました。

このまま最後まで、結構良い人生だったよなって言いながら死んでいけるように、ちょっと頑張ってちょっとサボって生きていこうかなと思っています。

まとめらしく、読んでくださった方に何か呼びかけてみようと思うんですけど、うーん、まぁ、なんとかなります!大丈夫!
ライターとして飯食えるまでの話でした。おわり。

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