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フルマラソンのPBを7カ月で17分更新した方法

2022年3月6日の東京マラソンが3:09:26(NET)
2022年10月30日の金沢マラソンが2:52:33(NET)
でPBを約17分の大幅更新となりましたが、そのために取り組んできたことのまとめです。

レースレポートはそれぞれ下記ですが、東京マラソンの方が典型的な大撃沈レースでしたので、17分の自己ベスト更新!というのはややオーバーな表現かも知れないです。それでも結果として振り返ってみれば3月時点ではサブ3ギリギリ程度の走力から、10月にはサブ50近い走力まで引き上げられていますので、参考にしてもらえる点はあると思います。

東京と金沢のラップタイム比較

40kmまででも6分5秒更新!

東京マラソンも過剰な自信からサブ50を狙ったレース運びをしようと思っていましたが、スタート直後の混雑を抜きにしてもどうしてもキロ4ペースに入れることができていませんでした。その中でも無理にペースを作りに行こうとした結果30km以降はサブ3ペースも維持できず、40km地点でハンガーノックでダウン。以降はほぼ歩きで何とかゴールするのが精いっぱいという展開でした。

一方で金沢マラソンは細かなブロック分けによるスムースなスタートと、その後のキロ4での集団走で着実に距離を刻んでいけましたが、30km以降から余裕度が徐々になくなり、35km以降はスローダウン、目標だったサブ50の可能性が途絶えた40km以降はジョグでのゴールとなりました。
比較をすると全区間でラップタイムを更新していますが、特に25km以降の更新幅が大きく、終盤での弱さ・スタミナ不足を多少は改善出来てきたと思います。

VDOT表分析

東京マラソンの3:09:26のVDOTは50.4ですが、2022年2月までに記録していた他の距離のタイムは5000m 17:25、10km 36:45、ハーフ 1:21:46となっており、スピードタイプにありがちな典型的な配列でした。
金沢マラソンで2:52:33、VDOT56.3まで改善させましたが、それでもまだ右肩上がりの配列ですので、スピードの引き上げをしないままでもタイム改善の余地があると考えています。(金沢マラソンの準備期間中はタイムトライアルを一度も実施しなかったので、実際にはもう少し短い距離のタイムも向上していると思います)

7カ月間実際に取り組んできたこと

上記までの通り「初マラソンで大撃沈したスピードタイプランナーが7カ月間でフルマラソンのPBを17分更新した方法」という注釈付きになりますが、実際に取り組んできたことを以下ご紹介します。

東京マラソンで明らかになった課題

・根本的なスタミナ不足
・普段の練習から余裕度を高めることを意識してきていなかった
・自分のMペースを客観的に受け止めることができていなかった

改めて分析するまでもないですが、この3点に尽きると思います。当時の練習を振り返ってみると、Eペース走12km(4'30/km、1時間弱)とTペース走20分間(3'45/km)が中心で、180分間ジョグはレースから離れた時期に2回、Mペース走(3'58/km)は20km台後半で撃沈というような内容です。2021年12月は月間300kmの平均ペースが4'19/kmにまでなっていました。
この、全体的に速く、短めな走行時間での練習は、10kmやハーフマラソンには特異的だったかも知れませんが、フルマラソンの練習という観点では必要以上の速さ、必要不十分な走行時間になっていたと思います。

練習方法の根本的な見直し

一番に意識したことは普段のジョグのペースを遅くする(Eペースにもこだわらない)ことで強度を抑え、その代わりに走行時間を伸ばしていくことでした。また、Mペースを含んだロング走も何度も繰り返し、二部練習でレースタイムを確保することも重視して取り組んできました。
その様子は下記2枚のグラフにまとめていますが、日々の練習時間を捻出できる範囲で長くとり、強度としてもジョグペース以下の練習を1000km以上多く積み上げています。

ゆったりした全く無理のないペースでのジョグの積み上げは回復力を高めることに直結し、この7カ月間は過剰な疲れを感じたり、故障したりすることなく継続的なトレーニングに取り組むことができました。

また、余裕度という概念があり、余裕度を高めるのは余裕のある練習で行うという有馬さんやごせんさんの考え方はとても納得感が強く、自分の中でも消化させています。ジョグで余裕度の感覚を高め、MペースやTペースでもオールアウト近くまで追い込むことをせず、必ず一定の余裕を保てるラインを意識して実施していました。

期分け

ここは、あまり特殊なことはしていません。
東京マラソンから2週間程度のオフを取った再開直後は特に低強度×大ボリュームのジョグで有酸素系の土台を構築。
速い練習に移行する前に少し強度を落としたTペース(3'50/km程度)でLT2を再構築。
レペティション(ランニングエコノミー)→VO2Maxインターバル(1200m×3~4本)→LTペースの引き上げ(3'40/km程度)というダニエルズの考え方に近い順番で強化。と同時に12週前あたりからMペース量を徐々に拡大させていく方法で準備してきました。
3週前にはもはや儀式的な意味合いの強いMペース30km走を単独・無補給・無給水で実施してコンプリートしています。(テーパリングフェーズの最後に少し体調を崩してしまったので、それが無ければサブ50行けたかも…という気持ちも少なからず残っています…)

まとめ

結局、こうしてやってきたことを振り返ると、
・低強度×大ボリュームのジョグを重視した
・ジョグを通して回復力、余裕度を高めることを常に意識していた
・(東京マラソンまでの追い込んだ練習から)余裕度を意識した練習に切り替えることでフィジカル的にもメンタル的にも無理がなくなり、練習の継続性を高めることができた

ということに収斂しますし、よく語られる「ゆっくり走れば速くなる」ということに結局は帰着するんじゃないかなと思います。
そんな中でも「余裕度」の概念は練習、レース本番のどちらでも非常に重要ですので、最後にtoremanさんのTweetを紹介して締め括りたいと思います。


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