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季節の変わり目と共感

少しづつ暖かくなり、天気予報を見ては外に出かける提案をすることが増えた

今までは、コートにマフラー、手袋もあった方が良かったが今では無い方が過ごしやすい

そうして少しづつ人間のサイズが小さくなっていることや、洗濯物に虫がついていることや淡い色の花が増えたのを見る

春だなぁと思う

春の匂いはまだ遠いが目に映るもの達がもうすぐ来るよと伝えてくれている
教えてくれるのは天気予報では無く、いつも目の前の自然なのだ

季節の変わり目によく話すことがある
それは、四季折々その時の匂いの話だ

春の匂いだねぇと喜んでいてもだいたいそばにいた人は、わからないと言った

少し残念に思うのと同じくらいその匂いを感じれる自分が好きだと思った
大事にしようと思った

そしてまた当たり前にそんな話をする
理解されないだろうと思いながら話すと、夫は


「わかるよ」


と言った
わかるのか、と思った

わかってくれない事が寂しかったのにいざわかる人が現れた時、喜びよりも同じ種族なのだなと絆が深まった気がした

そしてただ、わかるよと一言だけ返してきたとこが好きだなとも思った


「あー、いいよね!」


「なんか伝えにくいけど暖かくて甘い感じで!」


とか、そんな返事じゃなかったことが何故かすごく好きだなと思った

自分が大事にしていることを、
ただ共感して無理に踏み込んでこないこの人と
一緒にいたいと思った

もうすぐ結婚記念日が来る


それが過ぎると桜が咲いて、
尾道に初デートに行ったことを思い出す

日向ぼっこをしてポカポカになった猫を2人で撫でて坂道をひたすらに上って桜を見た

カメラロールを遡って当時の記憶の欠片から、
より鮮明に匂いや温度を思い出す

山登り前に腹ごしらえ
陽射しが素敵だった
階段を上る度に桜とすれ違う
桜の屋根
景色を見ながらぼーっとした
尾道っぽい


懐かしい

私達はそれぞれがその時期に、たまたま別々の県から転勤で広島に来ていて、
たまたま同じ店舗で働いていた

もっと言うと、2人とも2年間だけそこにいる約束で転勤してきて私の店舗は固定だったが夫はそうでは無かった

私たちが同じ店舗にいたのは2年のうちのたった1年だけだ


偶然でしかないが、今となっては必然だったかのようにも思えてしまう


これが運命の出会いかどうかは死ぬ時に決めようと思う


その日まで、
毎年一緒に桜を見に行きたいと思うばかりだ

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