読書日記23「もういちど生まれる」-朝井リョウ

Kindleで買いだめておいた本がなくなったので最近大量に購入した。この本はその中の一冊だ。

複数の大学生が主人公となる小説で、ところどころ登場人物がクロスしている。こういう小説は綺麗でいかにも小説らしいタイミングで登場人物がクロスしていることが多いが、この本はそれがない。綺麗なタイミングでクロスさせた方が人物像を伝えやすいはずだ。この本はそれをしていないのに読んでいるうちに複数の登場人物達がリアルに浮かび上がってくる不思議な感じがあった。

多くの人にとって「今から何にでもなれる」とギリギリ信じながらも、もうレールに乗ってしまったことを突きつけられる最後のモラトリアム期間。大学生特有の湿度の高い時間が細かく描写されている。

多くの人が大学生は自由で楽しい時間だったと言うけれど、記憶が美化されているだけであの時期特有の辛さを忘れているだけなのかもしれない。そんな気がした。

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