読書日記112「陸王」-池井戸潤

老舗足袋メーカーが陸上用シューズの業界に参入する物語だ。陸上用のシューズは自分に縁のないものだったので、興味を持てるか少し不安だったが面白かった。

この本を読んで印書に残った人物は物語の途中からこはぜ屋の担当となった銀行員大橋だ。池井戸作品はビジネスに関する作品だからか登場人物の意思決定が論理的で分かりやすい。ところが、大橋は最後まで何を考えているか分からず、登場人物の中で浮いているように感じられた。

一言で言うならば、自分のスタンスを明確に示さず、最低限のエネルギーで動く人物といったところだろうか。自分のスタンスをはっきり示さないことで柔軟に動く、これはこれで1つの選択だと思った。

この本では、自己破産を経験した人物が登場する。今まで読んだ作品は倒産を回避しているケースが多かったため、驚いた。この作品を通して自己破産した人のその後の生活の様子を知ることができ、勉強になった。経営者保証制度は現在見直されている。見直しにより新しいビジネスが生まれやすい環境になってほしいと思った。

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