読書日記35「知の体力」-永田和宏

地元の本屋でおすすめされていた本をKindleで購入した。自分が購入して読んでいるつもりだった本は別の本で読んでいたのはこの本だった。

この本は、著者が大学教授としての経験を通して今の大学教育に関する問題点を指摘している。
著者の主張の中で一番共感したのは、「大学は企業に求められる人材を育てる場所ではない。学術研究の場である。」という部分だ。学部生が大学4年間で学ぶ中で仕事にいかせる部分はたかが知れている。研究を通して自分のこと興味がある分野を理解し、ある程度時間のかかるタスクをマネジメントする経験やそこで培った自信の方が人生においてよっぽど役に立つと思う。
と言いつつ、自分がそれに気付いたのは社会人になってからだった。自分の興味があった分野のゼミが大学に1つしかなく、そのゼミの教授が著者の考えに近かった。そのため、卒業するには卒業論文で他のゼミよりかなり高いレベルの研究をする必要があり、頑張るしかなかった
部分がある。このことに大学生の時に自分で気付き、より主体的に研究に取り組めていたからなお良かったと思う。
でも研究に全力でき取り組んだからこそ、著者が危惧していたような分からない若者に多く見られるネット等ですぐに答えを求めようとする、1人の時間をとらないなどの傾向が弱くなった。これが今の仕事にいきている。

学生時代に頑張ったことを卒業論文と答えると真面目過ぎると引かれ、会社の休み時間に1人で読書していると言っても引かれた。あまりにもそういう反応をされることが最近多く、悩むとまではいかないが、心の中で引っかかっている部分があった。この本を通してそのような自分を肯定してもらえたような気がして少しホッとした。

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