一人一人の人間がそこにいる
お恥ずかしながら今更『ローマの休日』を初めて観た。個人的にこの面白さはタイトルの通り、「一人一人の人間がそこにいる」ことに焦点を当てていることだと思う。
簡単にあらすじを説明すると、とある国の女王アンは政務の疲れで夜中に宮殿を逃げ出し、街に飛び出し眠り込んでしまう。そこで記者ブラッドリーが彼女の身の安全のため自宅に連れて帰ったところ、女王だと気づいてしまう。記者である彼はスキャンダルによって大金を得るため、ローマ観光案内を名目に彼女の動向に付き合う。
これが大枠のストーリーだ。以降タイトルに突っ込んだ話をするが、ネタバレが含むので悪しからず!
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冒頭、アンは政務に辟易として舞踏会の場での挨拶を気怠そうに行う。一方終盤ではローマ観光を終え政務に戻ったアンは記者会見をするが、そこにブラッドリーを発見しハッとする。彼女はここでローマ観光案内をしてくれた彼が記者であることを確信するが、スキャンダルを世に放つことはしないことを悟る。
そのため冒頭とは異なり、今度は思いを込めて記者ブラッドリーと挨拶をする。僕はここに「一人一人の人間がそこにいる」ことを忘れてはいけないというメッセージを感じ取った。また、当初はお互いに相手を手段として、お金や観光案内などの目的を達成しようとしていたが、ここでは二人が出会うこと自体が目的になっている。つまりお互いの関係は「金=観光案内」の関係性ではなく、「愛」によって結ばれている。
このように冒頭と終盤のコントラストが丁寧に描写されている。この他にも随所にコントラストの描写が散りばめられているので、そこに注目すると面白いかもしれない。というお話(レビュー?)でした。
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