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『論語と算盤』の感想

今度、福沢諭吉に代わって1万円札の顔になる渋沢栄一の『論語と算盤』を読んだ。その中で特に印象深かったのが、志を立てよと説いていながら、立て方には失敗もあるということを赤裸々に吐露しているところだ。

渋沢は人生の節目節目で大きな志を持ち、たとえば政治家として国政に参加していたい、実業界で身を立てたいといった志を立てた。
しかし、前者の志を立てたのは大失敗だったらしく、「大蔵省に出仕するまでの数十年間というものは、わたしの今日の位置から見れば、ほとんど無意味に空費したようなものだった」と語っている。
一方、後者の志こそ本意だったと告白し、その結果として日本の近代化に大きく貢献することができたのだ。

ここから学ぶべきは、志を持つことはもちろん、自分の資質と相談して志は慎重に見極めなければならないことだ。僕自身、漠然と思い描いている志はあるが、それには渋沢のように「無意味に空費」する期間を過ごすリスクも伴うわけだ。

そんなわけで、本書は志を持つことの意義と、その実現にどう近づくかについて深く考えさせられるとても素晴らしい一冊だった。

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