【演奏会感想】上岡×読響 ブルックナー8番

昨晩は待ちに待った読売交響楽団による、(人類の至宝と呼んでもいい!)ブルックナー8番を聴きに行った。指揮者はツァグロゼクの予定だったが、体調不良のため急遽上岡さんに。
この曲を超高水準の演奏で聴けて大満足。


会場までの移動中は、大好きなティーレマン×ウィーン・フィルのブルックナー8番を聴いた。やはりこれは名盤ですな!

さて、演奏会が始まると指揮者の上岡さんは弱々しい足取り 。少し心配になったが、それがまた奇妙にも巨匠感を引き立て、佇まいから気迫を感じた。

第一楽章、テンポはかなり抑えていて、弱音や低弦が際立っていたため、特有の不気味さが遺憾無く表現されていた。
トゥッティで金管を突き破って鳴り響くVnの美しさたるや…(トゥッティ後の聞こえるか聞こえないかくらいの繊細なVnの響きも印象的)

第一楽章が終わると、私の演奏会経験にはないほど長い間を置いて第二楽章へ。ますます高まる緊張感!

第二楽章、ギアを上げてオケを煽りまくる上岡さん!私の体からも音が鳴っているかのように高らかに愉快に響く第一主題!最後の音が消えるまでしっかり待つゲネラルパウゼを経て、音の流れにただただ身を委ねられる第二主題!
かなりの熱量でオケを指示する上岡さんの姿、カッコ良かったな…。

第三楽章、長大なアダージョ。最近ちょっと悲しい出来事があったので出だしから涙が。ただ感情に振り回されるよりは、しっかり音楽と向き合わねばと思い、涙は片づけた。
中間部でシンバルが告げるこの世のものと思えぬ絶頂の響き、そして絶頂後のゆったりとした余韻。お見事でした。
このアダージョを改めて聴くと、西洋の古典音楽こそが掻き立て得る特殊な感覚が存在ことに気づく。逆説的だが、心の内奥にある苦悩という名の快楽、とでも呼べるような。

第四楽章、アダージョの余韻をかき消す鋭い金管の響きは圧巻。そしてみんな大好き「ソ〜ミレド」で曲が終わり、感動と動揺によって拍手が起こらずしばらく静寂の空間に。この長い静寂は、N響×ブロムシュテットのマーラー9番を想起させた。

はぁ、素晴らしい90分間の旅であった。

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