ヴァイオリン協奏曲の魅力に気づき始めた話

長らく私にとって「ヴァイオリン協奏曲」というジャンルはどうも苦手で、実演であろうと録音であろうと感動することはほぼなかった。ただ、昨年PMFオーケストラの演奏会で、金川真弓さんが弾くメンデルスゾーンを聴いた時にその認識は一転した。冒頭からその音色に度肝を抜かれてしまい、名演間違いなしと確信。極限まで澄み切った清らかな音色から、抑制された猛々しい咆哮まで表現の幅がとても広く、終始圧倒されてしまった。こんな音楽体験はなかなかできるものではない。

私が苦手だったのはヴァイオリン協奏曲というジャンルではなく、ソリストだったのかもしれない。

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協奏曲においてソリストが埋もれるということは滅多にないが、ソリストがオケに匹敵するほどの堂々たる響きをホールに轟かせ、独奏時には聴衆の集中力を緊張感でグッと引くような異色のオーラを放つことは極めて稀である。極言すれば、そういう演奏だけが本当の意味で「協奏曲」と呼ばれるに値するのだろう。

先週、金川さんが協奏した小泉/神奈川フィルによるブラームスを聴きに行ったが、やはり昨年の私の感動は間違っていなかった。特に第一楽章のカデンツァは悠久を感じさせ、心の中で「ブラーヴァ…!」と叫ばずにはいられなかった。




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