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ようこそ、ラビリンスへ(スペイン・トレド)

トレド編

トレドはマドリードから電車で30分、バスで1時間でアクセスできる。宗教的歴史が未だに色濃く残る街で、「もし1日しかスペインにいられないのなら迷わずトレドへ行け」と言われているらしい。そのため、日帰りで観光している人が多く、1日あれば十分な街の大きさだ。旧市街は世界遺産に登録されている。

大きく分けて個人的に感じたトレドの特徴及び魅力は4つある。

①宗教的背景

元々はカトリックの西ゴートの支配下にあったが、後8世紀にイスラム勢力の支配される。その中でユダヤ人が居住していた。この3大宗教が融合した街はかなり珍しく、トレドにはキリスト教の聖堂・イスラム教のモスク・ユダヤ教のメスキータがある。

中でも目を引くのが2つ。1つ目はキリスト教とユダヤ教が融合した、サンタ・マリア・ラ・ブランカ教会

元々ユダヤ人のメスキータであったものを教会に変えたもの。変えたと言っては響きが悪いが、しっかりユダヤ教の要素を残しつつキリスト教の要素を取り込んだところは非常に興味深い。非常に小さい教会だが一見の価値はある。

2つ目がキリスト教とイスラム教が融合したムデハル様式の建築物。僕が訪れた中で、なんとそれが反映されているのはトレド駅。

ステンドグラスがあると思えば幾何学模様があったり。駅は単なる移動手段としてではなく、利用者を楽しませる存在であるべきだなと。

②入り組んだ地形

まずマップを見ると分かるように非常に複雑な地形になっている。

マップ無しで市街を歩くと迷宮に入ったかのように、複雑に入り組んだ道が続く。Google Mapがない時代はどう観光していたんだ…?

これは元々トレドが城塞都市だったことによるものだろう。敵の侵入を防ぐために道を複雑にすると同時に高い所に都市の心臓を置く。
そんなことを考えながら歩くと、より一層トレドを楽しめるかも知れない。

③エル・グレコ

ギリシャ人画家のエル・グレコは長年トレドに定住し、数々の名画を残した。ここで「ん?彼はスペイン人じゃないの?」と思われるかも知れないが、彼はイタリアにいる間、イタリア語で「ギリシャ人」を意味するGrecoと呼ばれ、それにスペイン語の男性冠詞のElがくっついてエル・グレコ(El Greco)と呼ばれたそう。本名ではなく、その呼び方が未だに彼を指しているのは何だか可哀想…笑

そんな彼はスペインの巨匠で、プラド美術館に多くの有名作品が所蔵されている。トレドでも彼の作品を多く見ることができる。


エル・グレコ美術館

まず入り口にMuseo del Grecoとあり、スペイン語のde(日本語の″の″)とelがくっついており、名前が助詞と合わさるのも可哀想だなと…笑 (2回目)

そんな話は置いといていくつか印象的な作品を載せていく。

1枚目はペドロ、2枚目がキリスト。ペドロは鍵を持っており、これはアトリビュートという技法で、持ち物によって聖人を特定することを可能にする。キリストはご覧の通り、手の形で見分けることが出来る。

彼の作品を特徴つける点は僕が学んだ中では3つある。
1つ目は、彼の絵は独特の光を表現していて迫力があること。極論、マンガみたいと言ってもいいかも知れない。
2つ目は、肉体のプロポーションが若干いびつであること。これはマニエリスム様式と言って、解剖学的なプロポーションを無視して、弾力的で躍動感を重視した技法である。
3つ目は、輪郭を黒で強調していること。これにより、より動きのある作品に仕立て上げることができるそう。

この3つの要素で彼の作品は迫力を持ち、見るものを圧倒する。最初はマンガみたいで好きになれなかったが、多くの作品をみていくうちに惹かれていった。

これはトレドの街を眺望した作品。右にはエル・グレコ自身が描かれている。


サンタ・クルス美術館

ここにも彼の有名作品がいくつか展示されている。

中でも印象的なのがこの『受胎告知』

散々『受胎告知』の絵を見てきたが、ここまで迫力を感じさせるものはない。ルネサンス初期のフラ・アンジェリコのものと比べるとその真逆とも言える変化を楽しめる。


④圧倒的美しさの眺望

夕方から夜にかけてミラドール・デル・バイエという高台に行き、黄昏ていたが素晴らしいの一言。これを見ずに日帰りは勿体ないので、1泊するのがいいかなと。改めて世界遺産の美しさに触れられる経験となった。

僕個人としては非常にオススメの街なので、是非皆さんも行ってみてはいかがでしょうか?

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