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大学生がJサポ2200人に遠征についてアンケートして卒論書いた話②―結果編―

どうもこんにちは。Korinです。
1週間も間が空いちゃいまして申し訳ございません。私生活で色々とバタバタしていました。

さて、連続シリーズ【大学生がJサポ2200人に遠征についてアンケートして卒論書いた話】第2回です。第1回を読んでないよ!って方はぜひこちらからお読みくださいませ。
https://note.com/pompom_korin/n/n60bcd2aadc90

前回はアウェー遠征を行う要因を5つ挙げ、どの要因が影響を及ぼすかを探る為にアンケートを行ったところまでお話しました。今回はその続きで、「結局どの要因が影響を与えたのか?」についてお話したいと思います。

1. 分析方法

今回卒論で使った分析ソフトは(※)SPSSというソフトを使用して分析を行いました。そのうえで、各仮説の項目を独立変数として、アウェー遠征で観光を行う頻度を従属変数として回帰分析を行っています。
(※)SPSS⇒米国IBM社の統計解析を行うソフトウェア。分析ソフトとして世界中で広く使用されています。

僕も卒論をやっているときは「独立変数とか従属変数って何!わーーーー!聞こえない!聞こえない!」っておっさんずラブの吉田鋼太郎さんみたいな感じになりましたが(笑)、何も難しくはありません。
関数y=fxにおいて、x=独立変数、y=従属変数です。つまり、xの値によってyの結果が変わってくるということです。(多分何も伝わっていない)

まぁ、細かいことは置いておいて結果を見ていきましょう。

2.結果と考察

さぁ、細かいことはさておき仮説の結果をそれぞれ見ていくことにしましょう。

仮説1:遠征頻度の高いサポーターほど、観光にかかる金銭的な負担が軽減された場合、試合前後により観光を行いたくなる

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結果
「金銭的負担が軽減された場合に観光に行きたい意欲」と「遠征での観光頻度」の2つの関数の間には弱い正の相関関係があり、仮説は支持されました。つまり、アウェーサポーター向けの入場料割引などを行って観光における金銭的負担が減った場合、今まで遠征に足繁く通っていたサポーターがより観光を行う可能性が高まるという結果になりました。

まぁ、当たり前と言えば当たり前の結果ですが、逆に言えることは今まで観光していなかった人にアウェーで観光してもらうための解決策は金銭的な面での支援ではないということです。
今回のアンケートでは好きな遠征地のアンケートとその理由を尋ねたのですが、金銭的負担が軽減された場合に観光頻度に行きたい意欲と現在の観光頻度の両方が低い方の意見で多かったのはスタジアムの良さに着眼した意見でした。多くの方がここの観光地が好きなどを理由に挙げている中での意見だったので、集計をする中でも目立つ結果となりました。

今現在観光している人1人あたりの単価を増やすのは金銭的負担を減らした場合は難しいので、自治体として観光で収益増を目指す場合は新規で今まで観光していなかった人にどのように観光をしてもらえるかを考える必要がありそうです。

仮説2:家族で遠征をおこなう場合、Jリーグサポーターは観光頻度が高い

結果
「遠征の同行者」と「観光頻度」の間には相関関係はなく、仮説も棄却されました。つまり、誰と行くかは遠征頻度に影響しない結果となりました。よく考えたらそうですね。1人で行っても、サポーター仲間で行っても、家族で行っても、観光するときはするし、観光しないときはしないですね。

よくマーケティングなどではターゲティングの大事さというのが言われるものですが、今回のアウェーサポーターを観光客として呼び込むという観点から言えば「このターゲット層にターゲティングすれば売れる!!」みたいな方程式を作ることはできないということですね。

仮説3:普段からグルメへ関心が高い人はアウェー遠征の際にも観光頻度が高くなる


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ラグビーW杯の時に食べた矢場とん(サッカーちゃうんかい)

結果
「普段の生活でのグルメへの関心」と「アウェー遠征での観光頻度」の2つの変数間には弱い正の相関関係があり、有意確率を見ても仮説は支持されました。つまり、「普段からグルメへの関心が高いほどアウェー遠征のときも観光頻度は高くなる!」という結果となりました。まぁ、当たり前なんですけどね。
Jサポのスタグルへの関心の高さを考えても納得いく結果かと思います。

で、下のグラフをご覧ください。

あああ

今回のアンケートで食への関心を5段階評価で尋ねた結果なんですが、
約4分の3の方が4以上にチェックを入れました(笑)
いかにJサポがグルメへのアンテナが高いことかお分かりいただけたと思います。

美味しいものを適切な媒体でPRして、それがアウェーサポーターに届けば必ず一定数のサポーターは関心を示すはずです。「アウェーツーリズム」を発展させていくうえで、そこでしか食べられない美味しいグルメというのは必須項目と言えるかもしれません。

仮説4:伝統文化に対して興味のある人はアウェー遠征の際も観光を行いやすい

結果
「伝統文化への興味」と「アウェー遠征の際の観光頻度」の2変数間には弱い正の相関関係があり、有意確率の面から仮説も支持されました。つまり、「伝統文化に興味がある人はアウェー遠征の際も観光を行いやすい」ということができます。

これも仮説3と関係がある気がするのです。【そこへ行かないと味わえない】という共通するキーワードです。つまり、ご当地の伝統文化もその現地に行くからこそ体験することができるということに大きな価値があり、観光を行うきっかけとして大きな要因になりうるのです。

例えば、僕が応援するアビスパ福岡の福岡では毎年7月1日〜7月15日まで山笠が行われています。この山笠、当然福岡以外の地域ではなかなか目にすることができず、しかもその時期に行かないと見ることが出来ません。もし、運良くそこの期間でアウェーでのアビスパ戦があるチームのサポーターは「折角だし山笠見てみたいから、アウェー福岡戦行ってみるか」と遠征へ行く後押しとなると思います。

つまり、伝統文化(祭りとか)を全面にアピールして「この時期しか見られないこんなものがあるよ!ぜひ来ませんか!」とアピールすることで、アウェーサポーターを増やすことが出来るかもしれないのです。
あ、もちろん試合日程と被らないことが大前提ですけどね…(笑)

仮説5:歴史に対して興味のある人はアウェー遠征の際も観光を行いやすい

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結果
「歴史への興味」と「アウェー遠征の際の観光頻度」の2変数間には弱い正の相関関係がありましたが、有意確率の面から仮説は棄却されました。つまり、「歴史への興味」と「アウェー遠征の際の観光頻度」にはあまり関係性がありません。

個人的にこれが一番意外な結果となりました。なぜなら、歴史に関係するもの(Ex:城、戦の資料館など)ってそれこそ現地に行かないと体験できないというキーワードから要因として大きく関係してくるものだと思っていたからです。また、御朱印集めのブームからもこの仮説は多分要因として絡んでくるんだろうなと予想していたので、「あれ…?」となりました。

で、考えたんですよ。なんでだろうって。
行きついた結論が「ついで」で観光できることが要因として挙げられるんじゃないかなって思いました。

私のTwitterのTL上でも試合前後に城などを見学に行くサポーターの方々は多くよく見かけます。でもそれは普段から歴史に興味があってその聖地巡礼というよりも、「教科書とかで見たことあるし、試合前に気軽に観光できるスポットとして行ってみる」というこの心理から城の見学などに訪れているのではないかなと思いました。

3.結局アウェー遠征を行う要因となるものは何か?

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E-1選手権で釜山に行った時に食べたカンジャンケジャン(カニを直接食す料理)

仮説1~5の結果をそれぞれ見ていきました。結果として関連があったのは『グルメ』と『伝統文化』になりました。(金銭的負担を減らすのは遠征が多いサポーターには効果があると思われますね)

Jサポの遠征と一般旅行者の旅行の決定的な違いとして「試合観戦の予定がスケジュールの中で固定されている」という点にあります。14時KOであるなら12時には開場し、13時10分ごろからはGKのアップも始まります。そして試合終了までおおよそ4時間くらい予定を拘束されています。(待機列待機も含めたらもっとですね)

だから拘束時間が長い大掛かりなアクティビティをスケジュールの中に組み込むのが難しい。(ラフティングとか)
そういうものが選択肢と外れ、【ご当地感】が味わえるものとして残ったのがこの2つになったのかなと思いました。

歴史的なものは教科書などに掲載されていて一般的な知識として広く知れ渡っていたら観光資源となる可能性はありますが、ニッチな項目だと少し難しいのかなとも感じました。

つまり、Jサポを観光に巻き込んでアウェーツーリズムを巻き起こそうという場合、グルメなどいかに「ついで」で観光する流れを作るれるかが非常に重要になるかなと今回のアンケートを通じて感じました。

第3回はアンケートでお答えいただいた「好きな遠征地」ランキングを発表予定です。3月上旬ごろ公開予定。しばしお待ちくださいませ!

今回も読んで頂きありがとうございました!

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