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和歌とモンブランと首都高のオレンジライトが好き

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最近の記事

庇護されて生くるはたのし ーかつてバリキャリであった私へのYELLー

配偶者は今日も深夜までExcelを睨んでいる。 某外資系戦略コンサルに最近転職した彼は、半年後の昇進を狙って、日夜仕事に励んでいる。 その傍らで、19時前後に仕事を終えた私は、皿を洗い、名も無き家事をこなし、その間に沸かした浴槽へと浸かる。もし子供を授かったら、このたっぷりとした入浴時間を削って子の言動に目を光らせることになるのだろうな、と思いながらだ。 そしてふと思う。もし私が結婚・出産という予定を持たなかったら、いま夜遅くまでPCの画面と向き合っているのは私も同じかも

    • 『映画を早送りで観る人たち』vs『陰翳礼讃』

      先日、サントリー美術館で開催されている『歌枕 ーあなたの知らない心の風景ー』の展示会に足を運んだ。 元々母が高校の古文教諭、自身も大学で国文専攻だったこともあり、幼い頃より馴染みのある世界である。特に、私の名前である「あかね」という語自体も、「むらさき」という語を導く枕詞であるというのは、ひとたび万葉集をさらったことのある人間には既知の事項である。 今回の展示では、水車と柳を主題とする「宇治」、桜の名所として名高い「吉野」などを始めとして、和歌の枕詞にまつわるモチーフや屏

      • 栗木京子「中庭」から読む、心地の良い沈没 ~天敵を持たぬ妻たち~

        「天敵を 持たぬ妻たち 昼下がりの 茶房に語る 舌かわくまで」ーー 栗木京子さんの歌集『中庭(パテイオ)』に収録されている歌のひとつである。 一見して、なんてことはない主婦たちの平凡な日常の一コマを切り取った一首であるが、私にはこの句に潜む栗木氏の葛藤、忌避、それからかすかな嫌悪感まで感じられてしまう。 それは、結婚を間近に控えた“プレ”花嫁という自身の立場にも拠るものかもしれないが、私は、当時結婚を終えて主婦としての日常生活に染まりつつあった栗木氏の感性にぴたりと一致す

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