フクの終わりに

ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』の冒頭は「フク」の話で始まる。それはなんらかの呪いという意味で、ドミニカ共和国を舞台としたその物語の底にフクは横たわり続ける。

作中のものよりもずっと狭義のフクが我が家にもあり、それに今解き放たれようとしている気もするが遅すぎたような気もする。こういう時に当てはまるような概念があるのはありがたいと思いながら日々のあれこれを進めている。全くうまくやれないことばかりではあるのだが。具体的な話をしたい気もするけどそうすることで損なわれることもあるだろうからそうしないとして、それでも全てを抱え込むのは難しいようなのでこういった形でぼんやりと書いている。

『オスカー・ワオ〜』の題名は、ほろびての再始動公演『音埜淳の凄まじくボンヤリした人生』で引用させてもらった。「フク」にまつわる物語でもあった。オスカー的な人物も登場する。見てくれた人がとても少ないのでやがて再演したい。

オスカーのような結末を迎えるのは物語や創作の中だけでいいなと思う。

いただいたサポートは、活動のために反映させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ほそかわようへい/演劇カンパニー ほろびて 主宰/劇作、演出/俳優/アニメライター