わが家のねこの話
ねこ動画に癒される日々、アップしてくれるみなさま、世界中のみなさま、ありがとうございます。じぶんが一番最近でねこに触ったのっておともだちの家に遊びにいってそこのかわいいねこちゃんを抱っこしたりしたのがもう数年前だから、ねこという存在をこの手に認めたのはもう2年以上は前のことのはず。かく言うぼくも高校生の時に姉が拾ってきたねこを飼っており、そのねこはのらねこ歴がけっこう長かったみたいで、家から出て行ったり戻ってきたりとフラフラしてた。そのうち、姉が友人宅から新しい新生ねこをもらってきて、うちではねこを2匹飼っているっていう認識でいたんだけど、1匹目の茶虎柄のねこは縄張り意識というのか敵意がつよいねこで、新登場の白地に黒ぶちの子ねこに牙を剥いたり爪を立てたりフーフー言ったりしてた。で、そのうち茶虎は見なくなり、数年後、母が、近くの公園で近所のおばあちゃんに抱っこされているのをみた、と言っていた。首輪に紐をつけられての抱っこなので、完全にホールドされてるイメージなんだけど、どうだったのだろう。
のこった白地に黒ぶちのねこはすくすくと大きくなり、ぼくのベッドに潜り込んで股の間で寝たり、顔を舐めてきたり、脇に顔を埋めたり、人なつっこさを全開にしていて、当時のぼくは高校生とか、浪人生とかだったから、ねこには構うときもあるけど構わないときの方が長かったし、かわいがりもしたけど、かわいがらなかったりもしていた。尻尾が生まれつき短くて、先っぽが鍵みたいに曲がってて、ぼくがテレビを見ているときにその短い尻尾をふりながらぼくに向かって鳴いたりしてたし、体を舐めすぎて毛玉を吐いたりしてた。ねこにとって毛玉を吐くというのはよくあるらしいけど、最初は驚いた。やがてぼくは大学入学と共に実家を出て一人暮らしをはじめ、実家に帰る機会も減ると、ねこに会う機会も減っていって、たまに帰っても、ねこはちょっと人見知りをしていたりしたんだけど、数十分もするといつものねこになって膝に乗ってくるのをぼくは気が向いたらかわいがって、ごろごろ言わせたり、わしわししたりしていた。実家は、玄関の真正面に2階への階段があって、その途中の段で、玄関からくる家族、出ていく家族を見守るように、門番みたいにして前脚にあごをのせて寝そべっているのがいつものかっこ、みたいだった。窓から外をうらやましそうに眺めてるくせに、家から出ると3メートルくらいしてすぐに地面にへばりつき、全然動こうとしない。抱きかかえて家に戻ると安心したみたいに、我が物がおで家の中を走り回ったりして。リビングにあるテーブルの4脚の椅子。家族用なのだけど、その内の1脚はねこが占領していた。その椅子はぼくか姉の椅子どちらかのものだった。
そういうのが何年も経って、ぼくも自分の事でせいいっぱいな6月頃、母から電話がかかってきた。ねこがいつものイスに座ったまま、天国に行ったと聞いた。こんな感じだからぼくはロスにまではならなかったけど、でもかなしかった。父や母は今、ふたりきりで暮らしているので、新しい動物飼わないのか聞いても、その気はないという。ねこは母の膝の上によく乗っていたし、ずーっと面倒を見ていたのは母だった。ねこがいなくなったことをどんな気持ちで受けとめていたのだろう。
そういうこともあって、SNSにアップされているねこの、特に白地に黒ぶちねこはより親近感が湧いている。どこかにうちのねこの生まれ変わりがいるかも知れない、とか、思ったり、思わなかったりしている。
いただいたサポートは、活動のために反映させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ほそかわようへい/演劇カンパニー ほろびて 主宰/劇作、演出/俳優/アニメライター