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ライターと編集者両方の視点から伝えたい「書く仕事」について

私は、書くことが好きです。
きっとこのnoteにたどり着いた方は、少なからず同じ気持ちでしょう。

「書くことが好き」というのはライターの素質として非常に重要ですが、同時にライター業をやってみて思うのは、悲しくもそれだけだと立ち行かないということ。

当然、書くスピードも安定した収入を得るという点では重要ですし、スキルとしては①情報を正しく読み取る力、②要点を的確に押さえる力、③それを伝わる言葉に置き換える力など、いわゆる“まとめ力”が求められますが、もう1つ大事なのは「客観性」を保つことではないでしょうか。

自分が好きな物事を紹介するために情報をまとめるとしても、記事には公式情報やデータなどの客観的な「根拠」とその「出典元」を示さなくては、読み手を真に納得させることはできません。

また、もし万が一誤った情報を書いてしまったとして、それがSNSなどで広まったらどうなるでしょうか。この情報社会で、今後のライター人生にどう影響するかは計り知れません。

とはいえ、客観性を確保するだけでは無機質になってしまうので、読者を飽きさせない工夫も織り交ぜるのが本当に優秀なライターなのでしょう。お察しのとおり、私もまだ全然できません。汗

ここで、自分の「書くことが好き」という気持ちをあらためて掘り下げてみると、どちらかというと「書くことに抵抗がない」に近いような気がしてきました。

結論、偉そうに語っておきながら、私はライターに向いていない人種だと日頃感じているところなので、本業の編集者の話も少ししたいと思います。

編集者として仕事をしていると、書き手の「伝えたい!」という気持ちにとても感化されます。たとえ多少無茶のある文章を渡されても、気持ちが込められているほど腕が鳴りますし、そうして出来上がった記事はやはり読み手に与えるインパクトも大きいように感じます。

なので、ライターのスキルとして“文章の上手さ”は必ずしも必要とは言えないのかもしれないと、編集者の目線では思うのです。(“美味さ”は必要かもしれませんが…笑)

同じように最近、編集者として大事なのは、“赤ペン先生”のようなスキルでは決してなくて、執筆者との信頼関係とコミュニケーションだと思うようになりました。

私は、よくライターと編集者の違いを説明する時、「ライターは0から1を作る仕事、編集者は1から10に育てる仕事」と表現していますが、この2つの関係性がしっかり築かれて初めて、印象に残る記事が世に生まれるのではないでしょうか。

先日、会社を退職するに当たって(実はただいま転職活動中です)、担当変更を執筆者にお伝えしたところ、その方は医師だったので、「担当医が変わると言われた患者さんの気持ちがわかりました」と独特な表現で寂しさを伝えてくれました。

この表現にならうと、執筆者が書き上げた作品を編集者に預けるのは、患者さんが医師に自分の治療を委ねるような気持ちと、もしかしたら似ているのかもしれません。

ほかにも、「あなたが辞めてしまうのならもう書けない」とまで言ってくださった方もいて、もちろんこういったことを言ってもらうために編集者をしていたわけでも、辞めるわけでもないですが、こんな素敵な執筆者たちと関われて、私は幸せ者だなと思います。

ライターも編集者も、そのスキルを客観的に評価することは難しく、実績が重視される世界です。しかし、一度得たスキルや経験は一生モノです。私は薬剤師として編集者の道を歩み始めましたが、新しいことができるようになるのは嬉しいものですし、年齢や経歴を理由に諦める必要もないと思います。

また新たにこの道を志そうとしている人を、陰ながら応援しています。

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