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Web業界のエンジニアはマネジメントをやるべきか?

Web業界のエンジニアはマネジメントをやるべきか?
https://www.youtube.com/watch?v=nQXf1KLBzJA

今回はですね、これからエンジニアになるという方達にとってはまだ先のことだと思うんですけども、キャリアを積んでいくと将来的に必ず一度は考えることになる「エンジニアはマネジメントをやるべきかどうか」という点に関して、僕の考え方を簡潔にお話ししてみたいと思います。

まずマネジメントの定義なんですけども、まあ一言で言えば「組織やチームの生産性を最大化するためのスキルや様々な施策の総称」という風に言って良いと思います。

で、その中にですね「テクノロジーによって代替可能なもの」と「人間じゃないとなかなか難しいもの」の2種類があると思うんですけども、前者に関してはまた後で述べるとして、後者の「人間じゃないとなかなか難しいマネジメント」の例としては、例えば

「目標管理」「進捗管理」「人材採用」「人材育成」「人事考課」「人材の最適な配置」「それらにまつわる様々な会議」「それらにまつわる様々な資料作成」というあたりがあるかなと思います。

つまりまあ人のマネジメントに関わる色々な施策とか作業ということですね。

一見して分かる通り、これらの「人のマネジメント」というのは、エンジニアリングとは全く異なるスキルが要求されることになるわけなんですが、Web業界のエンジニアがですね、こちらに手を出すというのは、その人がキャリア的にどういう方向を考えているかにもよるとは思うんですが、総合的に考えてですね、自分の職能のメインを「人のマネジメント」にするというのは、「エンジニアにとってあまり得策ではない」というのが僕の意見になります。

理由その1

理由の一つ目はですね、そもそも Web 業界とかテック系の業界に入ってきているエンジニアというのは、テクノロジーが好きでこの業界に入ってきてると思うんですよね。

テクノロジーが好きでこの業界に入ってきているのに、テクノロジーとは全く無関係の「人のマネジメント」という業務をメインでやることに関して果たして意味があるのかと言うか、「テクノロジーが好きで Web 業界にエンジニアとして入ってきているのにテクノロジーと全く関わりのない仕事をしてどうするの?」というのがまず一つ目の理由ですね。

つまりまあ、Web業界でエンジニアでやるということのメリットを全然活かせないというか、「人のマネジメント」ということを業務のメインとしてやりたいのであれば、むしろ「SIer業界で働く方がいいんじゃないかな」と思いますし、もっと言えば「 IT 業界じゃなくてもいいのでは?」というかですね、そういう風に僕は思っているという感じですね。

理由その2

二つ目の理由としてはですね、「就業形態が限定される」ということですね。

一言で言うと「正社員という就業形態に縛られることになる」ということですが、普通に考えればわかることだと思うんですけども、「人のマネジメント」をメインの業務とする人にはですね、当然ながらある程度の決裁権というものが付与されるわけですが、この決済権を例えばですね、フリーランスとか業務委託の人に渡すかと言うと、それはまずありえないわけですよね。

もちろん例外もありますし、業務委託の人が人のマネジメントに携わるというケースを見たこともあるんですけども、基本的には正社員のプロパーの人にしか決済権は渡さないというのがほとんどの会社さんの方針なわけです。

これもまあ考えれば分かると思うんですけど、例えば週2日しか来ない人とかですね、3ヶ月ぐらいでいなくなっちゃうかもしれない人に何かの決裁権を与えるというのはものすごくリスク高いので、当然のことというわけですね。

でもそうなると、例えば「人のマネジメント」をメインの業務としている人がですね、将来的にはフリーランスで複数の会社さんを掛け持ちしたいなとか、あるいは比較的短期間で会社さんを移って色々な現場を経験してみたいなという風に思ったとしてもですね、マネジメント職に対するそういう系の募集というのは、手を動かすエンジニアの募集と比較すると極端に少ないので、つまり「フルタイムの正社員という就業形態に縛られることになる」、つまりエンジニア職と比較すると就業形態の自由度がですね、極端に低くなるというデメリットがあるというのがマネジメント職をおすすめしない二つ目の理由ですね。

理由その3

三つ目の理由としては「そもそも需要が少ない」ということですね。

まあこれは求人サイトとかを見れば一目瞭然だと思うんですけども、「手を動かすエンジニアの求人」と「エンジニアのマネジメント職の求人」を比較してみると、もちろん年齢との兼ね合いもあると思うんですが、例えば皆さんが50代になったとしてもですね、ニーズの高い技術を磨き続けて良いお客さんを開拓し続けていれば、Web業界でそこそこな仕事をゲットし続けられる可能性は十分にあると思うんですが、50代までマネジメント職をメインにしてきた人が、Web 業界でそこそこの仕事をゲットし続けられるかと言うと非常に厳しいというか、すごく小さいパイの奪い合いになる可能性の方が高いなと思います。

もうちょっと突っ込んだ言い方をするなら、「エンジニアのマネジメントしかできない人というのは使い勝手が非常に悪い」というかですね、手を動かすエンジニアとして優秀な上でさらにマネジメントに関しても高い能力を発揮できるようなスーパーマンであれば中高年でも普通に需要はあると思うんですけども、エンジニアのマネジメントしかできない中高年というのはですね、需要が本当に「点」のような感じになってしまうので、その「点」をゲットできない人は Web 業界から退場せざるを得なくなると言うか、そういうリスクのある職種選択だなと私は考えております。まあこれが三つ目の理由ですね。

ということで「人のマネジメント」に関する僕の考えはだいたいそんな感じなんですが、一番最初の方に言いましたが、マネジメントというのは組織やチームの生産性を最大化するためのスキルや様々な施策の総称で、そしてその中には「テクノロジーによって代替可能なもの」と「そうでないもの」があるという話をさせて頂いたと思うんですけども、僕の意見としてはですね、エンジニアが手を出すならば人のマネジメントよりもそっちの方向性、つまり「技術で代替可能なマネジメントの方に注力した方が得策」と言うか、「テクノロジーを活用して組織やチームの生産性を最大化するという方面の知見を磨いて行った方が美味しい」というかですね、同じマネジメントという行為に携わる場合でも、このやり方であればテクノロジーから離れることはないですし、エンジニアとしての強みを最大限に活かせるので、「人のマネジメント」というヒューマンスキルに寄る方向よりも、思い切りテクノロジー方向に寄った形でマネジメントに関わる、組織やチームの生産性を最大化するという活動に携わっていく、そういう方向性の方を僕はお勧めしたいかなと思っています。

ちなみに僕が強みとしているインフラのコード化とかコンテナ化とかテストやデプロイの自動化とか、あるいは色々な属人性の排除とかはですね、まさにそういう「テクノロジーを活用して組織やチームの生産を最大化する」分野に該当するスキルで、ここに今後は多分機械学習系の技術も入ってくると思うんですが、そういう「技術で代替できるマネジメント」の部分でバリューを出すことを戦略として考えていて、「人のマネジメント」は捨てているという、そういう感じですね。

KENTA / 雑食系エンジニアTV
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