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ソムニウム(18)虹色マンボウ
新宿が大火事になっている。
現場は遠くで
炎より黒煙がすさまじい
風に流されこちらにはこない
平気だな、と見定めて
城塞のような飲食モールをぶらつく
大門の外の店が美味いと
蟹の顔をした肉屋が言う
壁の中にその店はある
入って回鍋肉を注文すると
城塞の展望台に立っている
食べられなかった、と思いながら
外の街並みを眺めていると
川から魚が何十匹も
上陸してきて歩き出す
そして途中で烏賊になる
自分も烏賊になってしまう
こんなはずではなかったと
絶望して号泣する
すると大門の大扉が開き
虹色の巨大なマンボウが
目の前を飛んで空に上る
足をのばしてマンボウに触る
極上の味が口に広がり
人のかたちに戻っていく
二度と烏賊にはならないと誓う
マンボウは新宿を爆撃に行く
(終わり)
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