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ソムニウム(17)海亀ベッド


皆既日食を見ないように
カーテンを締めて喧嘩する
妻と大声でののしりあう
叩かれながら
いま空で
金色のリングができてると思う
車より大きな海亀の
甲羅の上にベッドがあって
その上に妻と乗りながら
北の海を漂流する
空は晴れ波は荒れている
テトラポットの港に着く
妻と手をつなぎ砂浜を歩く
あちこちに花が咲いている
黄色い花の写真を撮る
海辺に座って夕日を見る
凪いだ海が桃色に染まる
海亀ベッドが遠ざかる
小さな子供が乗っている
立ち上がって二人で街へと向かう
一羽の鳥が飛んできて
自分の周りをぐるぐる廻る
自分もぐるぐる廻ってみる
飛んでいる鳥がくっきり見えて
妻と世界がぐるぐる廻る


(終わり)

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