2022/03/24 1/10(10分の1)を許すこころ

「10回に1回でも出来たら自分をほめてあげなさい」。

これは私が小学校3年生のときに担任から言われた一言だった。その頃の私は短期で、クラスメイトに対してすぐに文句や非難の言葉を浴びせていた。大人になって当時を振り返ると、なんて馬鹿なことをやっていたのだろうと反省できるが、当時は余裕がなく自分の感情をまき散らしていた。

あの言葉を言われた日に何があったのか忘れてしまったが、おそらくクラスメイトを罵倒したのだろう。見るに見かねた先生は私を呼び出し、何でもかんでも悪口を言う前に我慢できるようになりなさいと言った。私はその言葉にも「どうせ我慢はできない」と口答えした。「できない」「嫌だ」が口癖になっていたのだと思うし、良いか悪いかを判断する前に、条件反射的に言葉が出てしまっていた。私が先生の立場なら、こんな児童の指導をあきらめるだろう。

しかし、その先生は違った。私の口答えに対して、「最初からできないと決めつけるのではなく我慢をする努力をしなさい」と言ってくれたのである。そして、それに続けて冒頭の言葉「10回に1回でも出来たら自分をほめてあげなさい」につながるのである。私はそれならできるかもしれないと思った。

私は完璧主義であり、「できない」という拒否反応の裏側には、完璧にはできないという意味が隠れていた。当時そのことは自覚できていなかったが、先生は見抜いていたのかもしれない。だからこそ、毎回できるようになれとは言わず、1回でもいいからその成功を成長につなげてほしいと思ってあの言葉をかけてくれたのだろう。とてもやさしい言葉だった。私は不思議とその言葉をとても素直に聞き入れた。そして実践してみた。連絡帳に何回我慢できたかを書いて先生に報告したこともあった気がする。

あれからもう20年も経ち、先生からかけてもらった言葉は記憶の中から消えかかっていた。そんな時「#やさしさを感じた言葉」を見つけて、真っ先に浮かんできたのが、小3のときの言葉だった。まだ消えていなかった。今でも相変わらず完璧主義で失敗から前に動けないことも多い。人間は簡単には変わらない。でも、先生のあの言葉は、10回に9回失敗したから怒られるとか全然ダメだという考えから、10回に1回でもよいという考えがあることを教えてくれた。せっかく思い出した言葉なのだから、これから大切にしていきたい。

コーヒーを驚くほど薄くして飲みながら工事現場を見下ろすビルの10階にて

#やさしさを感じた言葉


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