見出し画像

インポッシブル・アーキテクチャー

出張のついでに、大阪の国立国際美術館。インポッシブル・アーキテクチャー展を見にきた。

技術的には可能だけれども、予算がかかりすぎて実現不可能な建築物。

このキーワードが一番の成果だったように思う。

最初の展示室にある映像作品。ウラジーミル・タトリンの『第3インターナショナル記念塔』。ソビエトに建築される予定だった。もしくはコンセプトだけだったか。素材と構造とギミック。そうしたものを実現する技術力は当時にはなかった。それがCGで再現されている。なんとも奇妙な体験。時代が経ったものながら、CGによる建築物の実現と仮想的な体験。それが奇妙に感じた原因だと思う。

ブルーノ・タウトの生駒山嶺小都市計画。これを見た時に、真っ先にトヨタシティ「Woven City」を連想した。考えてみれば、都市計画というのは最近の話ではない。戦国武将だって如何に都市を設計するかに腐心していた。

未来都市を一から作る。ワクワクする感じもするけれど、次の展開がどうなるのだろうか。

この記事によれば、東京ディズニーランドの1.5倍の広さ。TDLと比較をされるとテーマパークのように感じてしまうが、どうなのだろうか。

自動運転、センサー、IoT、ロボット。こうした技術を実証実験するという。ただし、理想的な都市として設計された場合、それを実際の社会に展開するのはハードルがあるだろう。ショールーム的な役割なのか、理想のケースとするのか。今後の動きには注目したい。

ハンス・ホラインの

あらゆるものが建築である

航空母艦都市の写真。

田園風景の先に、似つかわしく無い空母が横たわっている。その空母の巨大さ。確かに、近代の空母は3千人を超える人員を収容している。小さな村くらいの人が暮らしている。

ヨナ・フリードマンの空中都市。『バイオスフィア :ザ・グローバル・インフラストラクチャー』と岡本太郎の『僕らの東京都設計図』など。

岡本太郎といえば、大阪万博の屋根に穴を開けた太陽の塔。2025年の大阪万博に関連してか、太陽の塔の記載もあった。

黒川紀章の農村都市計画の模型。日本人の建築家、日本国内のみならず、海外のコンペティションに応募していた作品なども確認できる。

都市計画、設計に関して、加納久朗の構想、新首都ヤマト。日本住宅公団の総裁として紹介されていたけれど、いろいろな役職を歴任していた。東京湾の半分くらいを埋め立てて、新たな首都を構築するという構想。その埋め立てには、核爆弾を使って房総の山を崩して賄うという。今では、考えられないような構想、時代によって考え方の変遷があるものだけど、都市と接続することで、ありえなさというものを実感すると思った。

ザハ・ハディドの国立競技場の模型、よかったな。

最後は会田誠の『シン日本橋』。山口晃の『日本橋 改』があったために、自身で描いたという。その直前に展示してあった『東京都庁はこうだった方が良かったのでは?の図』は会田誠のスケッチを山口晃に発注した建築イメージ図、日本橋も同じことを考えていたらしい。

相当な物量だったけれど、展示のやり方は若干退屈だった。コレクション展で白髪の作品が見られたのは良かった。2019年の6月以来の再会。ジャコメッティの彫刻は、以前見たときよりも小さいと思った。


いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。