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アート×ブロックチェーン

僕が勤務している外資のソフトウェア企業、かなり広い製品ラインを持っていて、エンタープライズ向けの製品が中心なんだけど、AI *1 , IoT, Blockchain, Big Data系の製品もある。もともとのキャリアのスタートはプログラマ。ハードウェアを動かすようなプログラムやら、工場の自動化のプログラムを書いていた。コンピューターの仕組みにディープダイブしていた。最近のキャリアはビジネスプロセスのスペシャリストとして、プロセス改善だったり、システム化の計画だったり、テクノロジーとビジネスの両軸を基本としてポジションを取ってきた。

教授からの指令、アートとブロックチェーンの関係をレポートせよ。僕にとって、最適な課題だ。

参考文献

そもそもブロックチェーンって何?

概要や、技術的な部分の説明は、このnote以外にもかなりの情報があるので、割愛。ブロックチェーンの主な特徴をピックアップすると、次のような感じ。

・暗号化技術を使い、安全に所有権などをデジタル上で移転できる
・誰から誰へ何を移転したかといった取引をブロックと呼ぶ台帳に格納する
・そのブロックを数珠つなぎに連結するから、ブロックチェーンと呼ぶ
・分散管理台帳、つまりブロックチェーンを分散して保管している
・取引の正当性、ブロックの連結、ネットワークの維持を自律的に行う
・取引にプログラムを関連づけることができ、デジタル上であれば自動履行できる(スマートコントラクト)
・世界にたったひとつしか存在しないデジタル資産を作ることができる

つまり、改ざんが難しく、匿名性と安全性を保った上で価値交換できるネットワーク技術であり、ブロックチェーンを基盤として動作するビットコインが、仮想通貨(日本の法律では暗号資産)と呼ばれるように、通貨機能、決済としても使える信頼性を備えている技術と言える。自律ネットワークのため、中央管理者を置かなくとも、取引が実行できるし、情報は分散して管理、保管される。通貨発行主体というものが国家ではなく、ブロックチェーンネットワークであり、国家、国境を破壊する可能性も秘めている。各国政府、税務期間が警戒もする。

いやいや、ブロックチェーンをもう少し詳しく知りたい。という人は、こちらをどうぞ。

お金が絡むと、いろいろな思惑も絡んでくるもの。取引所からの流出問題とか、投機的な動きと乱高下するビットコイン相場など。そうしたニュースが世間を騒がすと、胡散臭いものとみなされてしまう...。

エンタープライズ *2 の場面で、ブロックチェーンの投資がそれほど進んでいないのは、そうしたイメージによるものだと思う。また、ブロックチェーンでなくとも実現できるという事業構造も多い。貿易決済に応用するとか、原材料のトレーサビリティに使用するとか、エンタープライズ事例は、出始めてはいるように思う。けれども、PoC *3 に留まっているような気がしないでもない。

そんな中で、LVMHグループが自社のブランド。ルイ・ヴィトンで、カバンの製造証明にブロックチェーンを使うという。

ルイ・ヴィトンのカバンの真贋を製造元であるブランドが保証するというものと、原材料となる皮革がどのように生産されたのか。サステナビリティをも視野に入れたもの。また、二次流通においても、この真贋保証が役に立ち、ブランドの毀損にも対応できる可能性がある。

この活用事例は、アートにブロックチェーンを適用できる可能性がある。プライマリー・マーケットに出るときに、ギャラリーが作品をブロックチェーンに登録し、作品の真贋を保証する。そうすることで、セカンダリー・マーケットに出たときにも、真贋がはっきりするということ。もちろん、来歴も。

こうしたアートの取引の透明性に関する取り組みとしてスタートバーンのアートブロックチェーンネットワーク(仮称)がある。

アート作品に関する取引をブロックチェーンに格納することで、プロビナンスを明確にしようというもの。

作品証明書の発行、作品のリストをブロックチェーンに保管することで透明性を確保しようということ、未だにアナログな管理をしている美術館には、感謝される仕組みみたい。

例えば、最初に作品がブロックチェーンに登録されたのが、◯◯ギャラリー、その後SBIオークションに出て、△△美術館に所蔵されたとか。そうした記録がブロックチェーン上に格納される。こうした情報は秘匿させる機能も用意しており、ギャラリー、エージェント、美術館、コレクターのアートワールドの各プレイヤーのニーズを満たすという。

スタートバーンが白書を作ったのだけど、このブロックチェーンネットワークでマネタイズするつもりはなく、スタートバーンとは別の協議会が運営を担うという。世界には、このようなプロビナンスを示すブロックチェーンネットワークがいくつか存在する。そことの相互接続も視野に入れているという。

スタートバーンCEOの施井さんに質問する機会もあり、このブロックチェーンネットワークには注目している。


その2に つづく かも。



*1 機械学習系のこと

*2 どう表現するのが適切なのか分からないけれど、大企業をイメージ。年商で5000億円以上くらい。

*3 Proof of Concept、コンセプトの実証のこと。アイデアいいけど、実際にできるの?ということを試すこと。PoC貧乏なんて言葉もある。PoCだけやって事業化できないこと。


いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。