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あいちトリエンナーレに行ってきた

「アートを研究する者は、今、愛知で起こっている事を見ておかねばならない。」K先輩の言葉を受けて、早速、日程調整、愛知に出かける。東京から愛知へ日帰りの強行軍の予定。午前中に豊田市に移動し、豊田市美術館の開館待ちの列に並ぶ。クリムト人気。

最初の展示こそ、スタッフのプロジェクタスイッチ入れ忘れがあったものの、至って普通の展示に見える。

レニエール・レイバ・ノボの作品

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巨大なインスタレーションとコンクリートの絵画。実は、これが新聞紙がかけられた作品だった。ゼミの同級生からもらった写真によると、全てに新聞がかけられ、手前にあるツルハシの先とハンマーには、ビニールカバーが掛けられていた。

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ちょうど展示再開初日の訪問だった。スタッフにも、いろいろと話を聞いたら、全会場で展示再開を確認した。ただし、全ての会場を確認する余裕は無かったので、同時多発的に実施した。一部、公開中止のままもあるかもしれない。そうした緊張感と開放感というか、そんなものを感じた。

豊田市の会場をいくつか回る。旧豊田東高等学校の展示、豊田市民ギャラリーの映像作品を観る。豊田市で生まれ育ったこと、日本を代表する世界的な自動車メーカーの企業城下町、高校生はある程度進路と人生が決まっていた。そこに、AIによる第4次産業革命。青天の霹靂というほどの突然さはなく、真綿で首を絞められるような感覚、なんとも言えない不安。喜楽亭も回ってみたかったけれど、そこも映像作品。時間的な制約があるため、名古屋市に戻る。

戻りの1時間くらいの電車、思わず乗り過ごしちゃった。朝早かったからな。

愛知芸術文化センターに到着、美術館へ向かうエレベーターに駆け込む人がある。そんなに人気なのかな。展示フロアに到着して分かった。午後から表現の不自由展の展示が再開されるということ、その再開された展示を見るためには、抽選が必要だということ、その抽選はもうすぐで、既に展望室を取り巻く長い長い行列ができていた。

このために、エレベーターに駆け込んでいたのか。

30分ほど並んでもらった抽選番号。コンピューターによるランダム抽選という。当たる気がしない。

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案の定、ハズレだった。

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実際には、抽選バンドをもらってから、抽選結果発表まで時間がある。じっくり展示を見て回る事ができた。

ウーゴ・ロンディノーネのピエロが見られた。

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表現の不自由展の展示室以外は、比較的に空いていて、ゆっくり見ることができ、とてもよかった。反面、報道陣もおり、近所の人達もニュースを見たのか、一目見たいと抽選に押しかけていたから、会場入り口付近の混乱はすさまじかった。これはソーシャリー・エンゲイジド・アートではなかろうか。伊藤ガビンの映像作品を待っている時に、芸術監督を見かけた。晴れ晴れとした顔をしていた。

彼に限らず、スタッフはみんな憑き物が落ちたような、すっきりとした感じがあった。


展示中止の様子は見ることができなかったけれど、まだ展示中止の案内は掲示されていた。

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そして、展示再開の掲示もされていた。こうした掲示物で、スタッフともコミュニケーションをとることができたのが、結構大きな収穫だと思った。

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あいちトリエンナーレを巡る論考は、既にいろいろな所で議論されている。僕は、その議論に参加するには未熟である。


名古屋市美術館に移動してきた。さすがに、1日で回るにはハードだ。

ゼミ生の知人の作品があった。青木美紅の作品。

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母親の愛とクローン羊のドリー。その年に人工授精で生まれた。この部屋には、いろいろなものに動きがあり、天井から吊り下げられた輪は回転している。そこに映し出された顔は、アーティストに人工授精で生まれたのだよと告げた時の母の笑顔だという。

作品を写真で見て知っていたけれど、実際に見るのとでは違う。やはり、美術展に足を運ぶことが、とても大事だと再認識。

この後四間道にも行ったのだけど、それは次回で。


いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。