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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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2020年7月の記事一覧

Pierre Huyghe: Sculptor of the Intangible - Interview Magazine 読書メモ

2017年のNasher賞の受賞について、アート・ジャーナリストの Taylor Dafoe 氏によるインタビュー。 There is virtually no art world convention that Pierre Huyghe has not sought to redefine. From customs of exhibition display, materiality, and medium, to the very ways in which we

『ドレス・コード? ─ 着る人たちのゲーム』 @ 東京オペラシティアートギャラリー 鑑賞メモ

京都で鑑賞していたため、東京の展覧会はパスしようかと思っていた。 ちょうど1年前くらいに京都で見た展覧会、ファッション・ポートレートの展覧会を見たこともあり、もう一度見直してみようと思った。 京都近美よりもオペラシティは狭いだろうと考えていたのだけど、2フロアを使って広々と展示しており、京都よりも見やすかった。 ただ、京都では展示されていなかった作品がいくつかあったものも構成や展示は基本的に一緒、興味のある部分だけじっくりと見ることにした。 展覧会はほぼ撮影禁止なんだ

『May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic』展 @ ANOMALY 鑑賞メモ

品川の新しいアートスペース TERRADA Art Complex 外構工事中であり、どこから入ればいいのか、一瞬躊躇する。このエントランスそのものもアートの試みではないかと訝しんでしまう。 Chim↑Pomの展覧会を見に来たので、必要以上に身構えていたのかもしれない。 再開後の展覧会はChim↑Pomの『May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic』展。 ゼミのS先輩がChim↑Pomが好きということで知っていた。その後に、このテキストを読

『写真とファッション90年代以降の関係性を探る』 @ 東京都写真美術館 鑑賞メモ

東京都写真美術館の写真とファッション展、ファッション写真というのは、商業写真の一分野だと思う。ただ、僕が知っているのはECでの話。1990年代は雑誌が隆盛を極めていた頃、今とはファッションの写真の需要と求められていることが違うだろうと思う。 ECで服を売る。 とても重要なことは、商品写真。ドコモ傘下になったファッションECモールのマガシークは、物流費用低減のために倉庫を地方に作ったが、モデル、カメラマン(未だにカメラマンなんだよね、カメラパーソンとは聞いたことがない。)の

『森山大道の東京 ongoing』 @ 東京都写真美術館 鑑賞メモ

TOP MUSEUMにきた。森山大道の東京を見ようと思った。 作品の大きさ、入り口近くにあったシルクスクリーンへのプリント、写真というよりも抽象画的な雰囲気があり、こうした表現もできるのだと。唇の反復にしても写真というよりも絵画のような印象を受けた。 この唇の写真は、展覧会のポスターにもなっている。 着色した唇とモノクロの唇、紅を乗せられたという表現がしっくりくる重ね合わせ。それが壁面全体に反復していた。 広い展示室にうつる。 スナップ。 様々な街角の切り取りが提

『フィールド⇔ワーク展 日々のアトリエに生きている』展 @ 東京都渋谷公園通りギャラリー 鑑賞メモ

アール・ブリュットあるいは独学でアートを学んだアーティストと写真家 齋藤 陽道氏との交流を作品と記録写真から提示する試み。 展覧会のページにキャノンと表記があるけど、正しくはキヤノンであり、ヤは小さな文字にならない。富士フイルムも同様に、イは小さくならない。これは間違えそうだけど、東海地方の某企業向けの書類で東海を倒壊と誤変換したままにしてしまい、その後取引停止になった事例を知っている。 ろうの写真家、齋藤 陽道氏。プロレスラーでもある。 彼の世界に音はない。うたはただ

『GLOBAL POP UNDERGROUND』展 @ PARCO MUSEUM TOKYO 鑑賞メモ

パルコミュージアムで開催しているGLOBAL POP UNDERGROUND展、オンラインで展示の様子を確認することもできるらしい。渋谷パルコの地上の通路(渋谷区との協議で廃止された区道があった部分)に空山基氏の巨大な彫刻が展示されている。確か、設置の様子をTV番組か何かで見ていたような気がする。動画だったかな。リモート生活になってから、コンテキストが乏しくなった。 展示そのものをオンライン・ビューイングルームで公開している。その上で、現場で入場料を支払って鑑賞する意味は何

『燦三と照りつける太陽で、あつさ加わり体調を崩しがちな季節ですが、規則正しく健やか奈日々をお過ごしください。』展 @ 西武百貨店 渋谷店 美術画廊 鑑賞メモ

渋谷西武の美術画廊で開催していた展覧会、とても長いタイトルは出展アーティストの名前から文字をとっているということ。この展覧会は、小林正人氏と鬼頭健吾氏が後進アーティストを推薦する展覧会ということ。 この展覧会では岡田 佑里奈氏の作品を見ようと思っていた。彼女の作品は、一階のショーウィンドウに大きく展示されている。B館の8階、駅から遠い方の建物で実施していた。 かなりの作品が展示されていた。岡田 佑里奈氏の作品は完売。これは表のショーウィンドウに掲示されていた作品だと思う。

George Baker, An Interview with Pierre Huyghe, October Vol. 110, Autumn, 2004 読書メモ 《Streamside Day Follies》

美術史家 George Baker によるピエール・ユイグへ2004年5月にニューヨークで実施されたインタビュー。それが October に掲載されていた。PDFのダウンロードは有料だけど、オンラインで読むならタダでいい。 この頃はHugo Boss Prize 2002を受賞した後。 インタビューのタイミングは、ピエール・ユイグがニューヨークのDiaで展覧会を終えた後、展覧会開催の9か月前からニューヨークに滞在していた。展覧会の終了は1月、インタビューは5月に受けている

『ポスト資本主義のブランディング〜ウェブ3.0時代の価値共創〜|ウェブ電通報』を読んで考えたこと

ブランド 使うコンテキストによって、これほど言葉が持つイメージが変化するのも珍しいと思う。 教科書的な書籍によれば、飼っていた牛を区別するための焼き印がブランドの起こり、すなわち、他と区別することが、ブランディング。 一言でブランドと言っても、いろいろな説明のある難しい言葉。でもね、アートよりかは、とっつきやすいかもしれない。 アパレル企業にとってはブランドとはラベルに印字する名前かもしれないし、IT企業にとってはスマホでよくタップするアプリの名前かもしれない。消費財

アニメのわき役キャラのライフタイム 《No Ghost Just a Shell》

1999年から2000年にかけて、アンリーを用いた作品が提示された。世界各国の展覧会で、アンリーに意味づけが行われていた。 下のリンクの写真、手に持っているセル画がオリジナル。それを持っているCGはフィリップ・パレーノによる3Dモデリング。 ヘッダーの写真はダイアテキストの06 2002/3/1の号。ここにアンリーの写真が4点ほど収録されている。 2002年12月19日にWIREDにも記事が掲載されていた。 アンリー。日本のアニメキャラクター開発企業からピエール・ユイ

アート・ビジネスについて 『美術とおカネ全解剖 アートの裏側全部見せます。』週刊ダイヤモンド 2017 4/1号

一般紙がたまにアート特集を行うことがある。大学院に入学を検討している頃、Penでアートのお値段という特集があった。 僕は常々気になっていることがある。ギャラリーは、どんな風に売上の流れを作っているのだろうか?という点である。直接ギャラリストに聞いたことは無いけど、美大の先生には聞いたことがある。その先生によれば、古美術を回しているらしい。 疑問は疑問だけど、それが分からないと夜も眠れないほどじゃない。気にせず、日々を過ごしていた所、週刊ダイヤモンドの2017年 4/1号に

ロボット応援団

なんだか昭和のアニメのタイトルのようである。 ソフトバンクの無観客試合、応援団(?)としてペッパーとスポットがダンスを披露する。この映像は、TechCrunch でも記事になった。 この動画、技術的制約なのか狙っているのか不明だけど、スポットは一糸乱れぬ同じ動きに対して、ペッパーは微妙なぎこちなさがある。生命にも似た雰囲気、愛着を生み出しているように思う。いろいろなネットの反応を見ると、気持ち悪いとか、狂気だという声がある一方、面白いから、観戦復活してもやってほしいとも。

Projecting 30 Percent Sales Drop, David Zwirner Lays Off Nearly 40 Employees

artnews.com に掲載されていた記事。 ガゴシアン、PACEなどが解雇をしていた際にも David Zwirner は雇用を維持していたが、ついに20%の人員削減を行うことを発表した。また、今年の売上は3割減という予測も出した。 売上は年末までに3割減ると予測している。 ニューヨーク、パリ、ロンドン、香港のギャラリーで解雇を行う。全従業員の20%は40人。 この時期まで解雇しなかったのは、コロナ禍が、どれほどの影響を経済に与えるのかを見極めるためだったとしてい