見出し画像

お酒って作れるの?「密造酒?」サングリア

こんにちは。

Polarisのるかです。

前回は、「混成酒」と「お酒の分類」についてまとめました。
今回は「お酒と税金の関係」を見ていきます。

お酒ってつくれるの??

お酒の成分「エチルアルコール」をつくるには、
「糖」と「酵母」が必要です。

糖:ぶどう、蜂蜜、砂糖など
酵母:微生物の一種。パンに使うイースト菌も酵母。酒蔵などでは浮遊しています。

存在自体はどちらも身近にあるものです。

「その2つを用意すれば、アルコールって簡単にできる?」と思った方!

そうです。実は、お酒はつくれます。が、
つくってはいけません!

理由は、「酒税法」という法律で禁止されているからです。
お酒を作るには免許が必要です。

「でも、実家で梅酒つけてたよ?」
という方もいると思います。

特定の許可の範囲内であれば問題ありません。

酒税法の例外許可

例外許可を認められる場合があります。
・果実を漬け込む酒類が、20度以上であること
・米、麦、あわなどの穀類をつけこまないこと
・ぶどう、山ぶどうなどぶどう類をつけこまないこと
・個人で消費すること

法律で決められた範囲内であれば、自宅で果実酒などをつくることは認められています。
焼酎(アルコール20度以上)、梅、氷砂糖で
梅酒をつくることができます。


蒸留酒に果実などをつけることはできますが、
お酒を発酵させてつくる醸造酒は、禁止されているんですね。

●もしかして…密造酒?サングリア

おしゃれなバルで見かけるサングリア。
ワインに、フルーツを漬け込んでつくるます。


ワインはアルコール度数15~16度ほど。
20度以上の酒類ではありませんね。

なので「密造酒」なんです。



サングリアリキュールにフルーツを入れて、提供直前に作るサングリア風カクテルなら問題ありません。
ワインに何日間もフルーツを漬け込むと違法になってしまいます。

カクテルのように、飲む直前にお酒を混ぜる場合は問題ありません。

カクテルをつくり、冷蔵庫で何日も保存すると違法になってしまいます。

酒税法厳しいですね…

●日本の文化「どぶろく」

お酒は「糖」と「酵母」があれば、つくることができます。
昔は、日本でも自家醸造(自分でお酒をつくる)をしていました。
有名なのは、「米」と「米麹」と「水」でつくる
どぶろく」です。


お酒はとても高価なもので、なかなか買うことができません。
一般家庭や農家などでは、自分でお酒をつくり、飲んでいました。

ところが明治に入り、酒税法で自家醸造を禁止されてしまったのです。

当時の日本は…
戦争もあり、財源確保をしたいと考えていました。

政府は、酒造業者に増税を求めます。

酒造業者も厳しい生活を送っています。
「世の中の人は、自分でお酒をつくるから、お酒買ってくれない!
自家醸造禁止すれば、うちの酒買ってくれる!」
と、酒造業者は、政府に自家醸造の禁止を要望したようです。

そして、税収のうち「酒税」は重要なものでした。
土地に課税する「地租」(現在の固定資産税相当)と、同じくらいの税収を得ることができました。
政府としても、自家醸造を禁止すれば、税金が増えるという考えもあったのでしょう。

 自家醸造は、各家庭や地域の味があり、日本の文化でした。なくなってしまうというのは少し寂しいですね。
 禁止を反対する意見もあり、自家醸造解禁を求める運動をしている方もいます。もしかしたら、いつか解禁になるかも?

現在は禁止されているので、やってはいけません。
衛生面でも、腐敗させてしまったり、不純物が生成されてしまったり、健康被害がでる可能性があります。

●「密造酒」から発見!ウィスキーの琥珀色

スコッチウィスキー

スコッチウイスキーはイギリス北部スコットランド地方で作られています。スモーキーな香りを楽しめるウイスキーです。

蒸留したてのウイスキーは、無色透明です。(焼酎みたいな)

樽に入れ、熟成させることで、琥珀色のウィスキーになります。

この琥珀色のウィスキーは、密造時代に発見されました。

むかしむかし…

1707年にイングランドは、スコットランドを併合しました。
イングランドは財源確保のため、スコットランドのお酒に対し、

高額な税金をかけます。

「そんな税金払いたくない!」と人々は山奥へ隠れ、お酒の密造を始めます。

現地でとれるピート(泥炭)を使い、(スモーキーな香りつく)

密造した「透明」な蒸留酒を、近くにあったシェリー樽にいれました。

そして、税金の徴収員にばれないように、ウイスキーの入った樽を渓谷に隠しました。

時が流れ…

渓谷に隠したウイスキーを樽から出してみると…

美しい「琥珀色」に変わっていたのです。

長い年月がたち、樽の木の成分がお酒に溶け出していたのです。

味がまろやかになり、香りも芳醇になっていました。

ウィスキーが「熟成」して、よりおいしいお酒に変わっていたのです。

税金から逃れるために作り始めた密造酒が、

ウィスキーの歴史を変えたのです!

密造時代は、100年ほど続きます。

19世紀初頭のイギリス王も愛飲するほど美味しかったとか…

お酒の税金が下がり、密造者たちは、正式にお酒のつくることが許されるようになりました。

密造酒が、新しい文化を作ったんですね。おもしろい。

まとめ

お酒は、「糖」と「酵母」があれば簡単につくるとができる

酒税法により、日本ではつくることを禁止してる

特例の範囲内であれば、梅酒等の果実酒をつくることができる

 海外では、自家醸造を認めている国もあります。各家庭や地域の味があり、そこにしかない味を楽しめます。密造酒から生まれた、琥珀色のウイスキー。人間の知恵、自然の力、偶然による奇跡があったからこそ、私たちは今のお酒を楽しめているんですね。

 これからも、お酒はどんどん進化していくんでしょうか?

次回は、「お酒と健康について」をまとめます。

このノートは、お酒の勉強のためにまとめたものです。

分かりやすい説明を心がけています。

お酒への興味関心が広がれば幸いです。

Polaris るか

るかのミニ知識

ちょこっと税金の話。(お酒とは関係ないです。)

お酒の歴史を変えた税金。
自然も変えてしまったことがあります。

むかしむかし…

 オスマン帝国は、支配地域のお金持ちから税金をたくさん集めたいと思いました。

 お金持ちなら「土地」を持っている!
「土地」があるなら「木」を持っている!と考え、
」に税金をかけました。

税金を払いたくない民衆たちは、「木」を切っていきます。

土地の「木」はなくなり、「砂漠」になっていきました…

オスマン帝国は、現在のトルコ、シリア、イランなど

現在、中東で砂漠化が進んでいるのは、昔の税金のせいなんですね。

税金と民衆の力ってすごいですね。

ウィスキーの美味しさを作ったのも税金。

豊かな土地を砂漠にしてしまったのも税金。

使い方はたいせつですね。