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逃げる行動力

行動力と言えば、ポジティブなイメージが強いように思う。
例えば新しいことに挑戦してみたりだとか。
だから自分は行動力がないと思う人が多いのではないだろうか。
私も私自身行動力がないと思っていた。

けれど、私にないのはどちらかというとポジティブな行動力で、ぱっと見ネガティブな行動力はなかなかある。

要は、嫌なことから逃げる行動力。

私は昔から嫌なことからよく逃げる。
だって嫌だし、といった理由で。

あまりにも授業での発表が嫌だったときはなんとかしてズル休みをしたり、講義で見た映画の感想を書かなくてはならなかったときは吐きそうなほど嫌で講義を抜け出したり。
別で課題を出されたが、そっちの方がゆっくりと出来たので助かった。

就活は、面接や就活生の雰囲気と黒スーツが嫌すぎて面接の練習など一切せず、考えもせず、片手分も受けないままやめた。
無職。ほんとダメ人間。

しかし、その先で始めたバイト先で、世の中は思っているより仕事の出来ない人もたくさんいるんだと知った。
私の周りは昔から優秀な人ばかりで、何でも出来るような人が多かったからこれには驚いた。
劣ってると思ってたけど自分普通じゃん、と。
きちんと正社員として就職できてるだけでも私より凄いなと思うが。

一番大きな逃げは、実家で珍しくブチ切れてしまった時。
家にいるのが嫌、就職するのも嫌、バイトももう嫌だと考えた結果、海外へ留学という名の逃亡を図ることに。
その国の言語は愚か英語も小学生以下。
貯金もほぼなかったが、持っていた物を色々売ってなけなしの金を貯め逃亡を果たした。
我ながら阿呆だったが面白かった。

そこで、無駄に気を遣い過ぎるのを辞めることを覚え、日本の会社の完全リモートの仕事を見つけた。
それに助けられ、今は自立している。
ついでに酒の肴も手に入れた。

嫌なことから逃げるとき、想像力がよく働く。
どうすればこの嫌なことから逃げられるのか。
そして逃げ道が見つかったとき、行動力が跳ね上がる。
嫌なことから逃げられるから。

意外なことに「ほんと嫌」から逃げると、時に面白い発見が待っていたりする。
嫌なことは好きより見つけやすい。

嫌の先に本当にやりたいことがあるのなら逃げない方がいいかもしれないが、その先に欲しいものもやりたいこともないのなら逃げてしまうのも一興。

とはいえ、逃げるのもやっぱり不安がでる。
どうせいつか死ぬんだ。最悪死ねばいいだけだと、私は自分を鼓舞して、今日も嫌なものから逃げる術を探している。

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