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死を見つめることで、“本当に大切したいこと”に真剣に向き合えた入棺体験 #073

今年5月にとてもユニークなワークショップに行ってきました。
以前、飛び込みでご案内に来てくださった入棺体験です。

お話を伺ったときから、ぜひ絶対に行きたい!と思って、すぐに申し込みました。

そして、開催当日。空は真っ青な快晴で、棺に入るのには持ってこい(!?)な良いお天気でした。会場の本覚寺に到着すると、立て看板とともに、スタッフさんが「こんにちはー!」と笑顔で元気に迎えてくれました。

本覚寺の中に入ると、荘厳な内装の中にお線香の香りが漂い、一気に非日常へトリップ。

そして、会場の真ん中には、今回の主役である棺が整然と並んでいました。

ドラマでもなかなか見られない風景。お寺の雰囲気にピタリとマッチしていて、不思議な迫力がありました。

入棺体験のワークショップまで少し時間があったので、本堂の中をぐるりと拝見。

その中に、光沢のある赤色に彩られた美しい棺が飾ってありました。今回、入棺体験を主催してくださった共栄さんの棺です。カタログを拝見したときも十分すぎるほど美しかったけれど、この赤色は実際見るとさらに輝いて見えました。

カープ棺

こちらの棺は、カープの公式カタログにも掲載されているそうですので、気になるカープファンの方はぜひチェックしてみてください。(ちなみにこの棺をリアルで見てから、街中でマツダの車を見かけるたびに、すぐに赤い棺を思い出すようになりました。笑)

左端の男性が主催者の共栄 栗原社長。白のTシャツを着ていらっしゃるのが共栄スタッフさん。

さて、いよいよ入棺体験のはじまり。プロのMCの方かな?と思うくらい上手な司会ぶりの共栄スタッフさん。そして、社長の栗原さんから、今回のワークショップ開催についての熱い想いが語られました。“入棺”という貴重な経験をさせてもらえることに、こちらも感謝の気持ちでいっぱいに。

さて、いよいよワークショップ開始。初めましての方と二人一組のペアになりました。テーブルの上には、色とりどりの紙と、質問の例文などが置かれています。

まずは、相手の方から「あなたは誰ですか?」という質問され、自分が答えたい範囲で名前や家族構成、仕事や趣味などを答えていきます。自分が答えた内容は、相手の方がメモをして残していってくださいます。

そして、ベーシックな質疑応答が終わると、次は主催者の方が用意してくださった質問項目『棚卸しのヒント集』をもとに、相手から質問がされます。

たとえば、

  • これまでに直面した困難はどんなことで、それをどのように克服しましたか?

  • あなたが人とのつながりを感じた瞬間はどんな時ですか?

  • あなたが大切にしている価値観は何ですか?

  • 日常生活であなたが喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?

  • 他の人よりも時間をかけて取り組んでいることは何ですか?などなど

自分の中の核心を突くような質問で、スッと答えられずに少し悩んでしまいます。けれど、時間が限られているので、頭の中で思いついたことを口にしてみました。

すると、自分でも「あ、私はこの価値観を大切にしているんだな」「こういうことに喜びを感じているんだな」「このエピソードが転機になっているんだな」と、あえて短時間で言語化することで、自分という人間を形作るモノが改めて見えてきました。

また、ワークショップのパートナーの方が初対面の方というのも、気負わず飾らずに答えられてとてもよかったなと思います。一方で、初めましてだからこそ、自分という人間が何者かを丁寧に伝えようとするので、それも良い経験になりました。「いま私はこんなふうに自分を人に紹介するんだなぁ」と新しい発見がありました。

そして、この質疑応答タイムが終わると、相手の方が私の回答をメモしてくださった紙を渡してくれます。今度は、その紙をもとにして、自分への弔辞を書きます。

弔辞とは亡くなってしまった悲しみやその人を悼む気持ちを表す、故人へ贈る別れの言葉。

弔辞とは?知っておきたい弔辞のマナーと例文より

最初聞いたときは、「え?弔辞?自分への?」と少し戸惑いました。

でも、司会の方から「大切な人が、自分を想って弔辞書いてくれたと思って、考えてみてください」と言われて、自然と夫の顔が頭に思い浮かびました。

彼なら、どんな最後の言葉をくれるんだろう?

弔辞を書いていると、最期にどんな自分でありたいのか、大切な家族や友人にどんなふうに想われて最期を迎えたいのかが具体的に見えてきました。

世間体、地位財、虚栄心――など、他人にどう見られたいかということは一切なく、死を前にしたときに、自分でも驚くほどシンプルな望みや在り方がそこにありました。

実際に弔辞を書いた紙

ふだんは仕事や子育てでバタバタと忙しなく日々が過ぎていくけれど、少し立ち止まって、棺に入る最期のときから逆算して、自分が何に対して価値を感じているのかを改めて考えることができた瞬間でした。

さて、できあがった弔辞をもとに、いよいよ棺桶に入ります。

意外にふかふかしている感じ
もちろん今回は自ら入ります

棺桶の中で横たわると、ワークショップのパートナーの方やスタッフさんが、実際の葬儀のように綺麗なお花で飾ってくださいました。

この写真をそのまま遺影にしようかな?というくらい良いお顔をしていました
扉が閉まる前に見えたのが、めっちゃ笑顔の栗原社長。
とても明るい楽しい気持ちで棺に入ることができました。
いよいよ扉が完全に閉まります
そして、完全に閉められる直前、中から見た様子。本当に真っ暗でした。

棺の中に入ってみると、くぐもってはいるものの、想像以上に周りの声が聞こえました。

真っ暗な棺の中で、目をつぶり、聴覚からの情報を頼りに過ごします。それもしばらくすると慣れてきて、一種の瞑想状態のような感覚になりました。

そして、自分が書いた弔辞を、ワークショップのパートナーの方が読み始めます。

夫や子供たち、家族、そして友人やこれまでお世話になった方の顔が、自然と浮かんできました。

そして、自分が実際に読んでもらうときに、どんな最後でありたいかをリアルに感じる、とても不思議な体験でした。

読み終わったあとに、棺を開けてもらうと、「この世に帰ってきたー!」感が半端なかったです。

その後、他の方の弔辞も読ませていただいたり、聞かせていただいたりしました。人生最期と想って書く手紙には言い得ぬ重みがあり、その人の価値観や人生の歩みが表れていて、さまざまな“幸せのあり方”があることに気が付きました。

天寿を全うして入棺するときには、“自分が思う幸せ”を惜しみなく、後悔することなく過ごした後に、ここに来られたらと思ったのでした。

今回の入棺ワークショップの最後に、本覚寺の住職がご挨拶してくださった中に、「現代の人は死を学ぶ場所がない」とおっしゃっていました。

死と真剣に向き合う事は、すなわち生きることに真剣に向き合うことと同じ。だからこそ、今回の入棺体験ワークショップは、とても意義のある貴重な体験になりました。

今回、主催してくださった共栄の栗原さん、スタッフの皆様、関係者の皆様、本当にありがとうございました!

みなさん、とてもホスピタリティーに溢れていて、この方たちが作った棺に入って、最期 笑顔で旅立っていきたいなと心から思いました(^^)心より感謝申し上げます。

※共栄さんのnoteでも入棺体験の様子が紹介されていますので、よければあわせてご覧ください。動画のリンクもあります^^


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