救護が出来るトレーナーになろう!!
アウトドアスポーツイベントのセーフティマネジメントを専門としている白くま隊をご存知の方にはアスレティックトレーナーは救護担当もするのが当たり前という認識の方も多いかと思います。トレーナーの歴史と現状を見てもそれは当たり前ではありません。
1.アスレティックトレーナー(AT)とは
日本スポーツ協会という日本のスポーツ関係の取りまとめをしている組織が幅広いスポーツに関わる人材の養成や資格認定をしています。コーチ・スポーツドクター・スポーツ栄養士・スポーツファーマシストなど その中にはアスレティックトレーナーという資格もあります。日本では国家資格としてアスレティックトレーナーに関わる資格はありませんので、日本スポーツ協会のアスレティックトレーナー取得が難易度や資格取得にかかる時間など一番エネルギーが必要な資格と言えると思います(私見ですが)。そのアスレティックトレーナーの役割の中にも救急処置が含まれています。
2.歴史を辿ると
日本においてはトレーナーと言われる立場は治療家(主に鍼灸師指圧按摩マッサージ師・柔道整復師)の先生方が怪我した選手の治療をすることがきっかけであったとされています。伝統的に治療に関わる医療資格を持ち治療主体で関わる先生方が多いです。その後海外(主に米国)の情報が入ってくるとアスレティックトレーナーという専門家がテーピングをクルクル巻くらしいということでテーピング輸入メーカーのPRとしてのトレーナー活動も拡がって行きました。治療をしたりテーピングを巻いたりというイメージはここからスタートしているようです。しかし日本が強く参考にしている米国は訴訟大国であり事故が起きた時に裁判にならないことが重要です。そこで安全管理をするアスレティックトレーナーが必要となります。チームのGMや監督・コーチが安心して働くためにも専門家に委ねているというのが大事なのは言うまでもありません。この辺りの歴史的・社会的背景の違いが日本と米国の違いはあるそうです。
3.それぞれの専門性(得意分野)が違う
日本で現在スポーツに関わるトレーナー活動をしている方でも専門分野は少しづつ違います。
・治療が主体で怪我した選手を対応を主にする専門家
・理学療法士でリハビリ分野の専門家
・ストレングストレーニングなどフィジカル面の専門家
などなど 他にも自分の特徴を発揮して活動している方々も沢山います。
持っている資格も違うし、基礎として受けている教育も違います。
サービスを受ける側には分かりにくいかもしれませんが専門性が実は大きく違うのです。
4.スポーツに近い場所で活動するならば必須なのは?
必要なサポートは沢山ありますがスポーツをしている環境に近い場所で活動するならば共通して必要になるのがセーフティマネジメントです。勝利至上主義・教育的効果・楽しさ重視・仲間づくりなどスポーツをする目的は色々ありますが、土台となるのはまずは【安全】であること。命や社会生活に支障が出るような事故が起きないようにすることや事故が発生した時の対処が基盤となります。そこで白くま隊ではまずはセーフティマネジメントを主体とした活動をしています。
※ここで言うスポーツ環境に近いというのは練習や試合に帯同することを言います。治療院や病院・コンディショニングルームでの関わりは違いがあります。
救護が出来るトレーナーになろう!!
どんな資格背景を持っていてもスポーツに関わるならば必要となる救急処置・救護について、白くま隊ではアウトドアスポーツイベントの救護担当として実施しています。数百人や千人を超える選手の安全管理をするのは数十人のチームのトレーナーとして経験を積むのとは全く違います。実際に発生するトラブルも多岐に渡ります。アスレティックトレーナーの教育に長く関わる上でもスポーツに関わりたいならば経験としてスポーツイベントの救護経験は必須にすればよいと思っています。治療やリハビリを主体とした教育の中では関わることの少ない分野であるというのも事実です。
どうしても日常的に求められる業務(治療・テーピング・運動指導など)の質を向上したいという興味は理解出来ます。よく見かける整形外科的外傷の方が予防したくなるかもしれませんが、可能性が少なくても発生したら命や選手生命にかかわる事故も沢山あります。専門家としてあまり出会わないかもしれない症例についても準備をし続ける必要があるのです。それが優先順位の高い役割だから。
まずは安全ということが分かったら救護が出来るトレーナーとして経験も積んでみて下さい。