KOUMI100 2018活動報告 /白くま的救護目線
日本で現在開催されている100マイルレースは5本
そのうちの一つであるKOUMI100
事前の情報共有はこちら沢山の方に御覧頂きました。
またこういったレース事例も含めたセルフレスキュー講座が
2019年9月29日(日)に開催します!42回目の主催開催です。
山で出会うかもしれない傷病者のために、まずは自分が元気に走るために!山を走るならば一度習っておきたい講座です。
目次
① コース変更あり
② 天候気温は?
③ リタイアの原因―救護事例
・捻挫ひとつでも走れなくなる
・本部仮眠室でダウン
・5周目の登山道で行き倒れ
暑さから寒さへの対応の難しさ
① コース変更あり(前日の説明会にて発表)
山頂に向かう登山道が台風24号の影響で崩落しました。
稲子湯エイドからロードを本来のコース逆走してにゅうに向かうコースに変更して相互通行区間が増えました。にゅうの手前が激登りとなり昨年のコースを知る選手はため息交じり。一周は32⇒35kmとなり175kmに変更となりました。実走180km越えていたという選手も多くいました。もはや110マイルレースです。
参加者についても災害の多い今年の状況になれてしまったのか、レース出来るだけいいかと特に混乱もなく受け入れてました。
距離としてはロード区間が伸びたという認識が選手を頑張って走らせてしまい、その後疲労が強く出ていたように感じました。時間はありますから1周目は様子見ですよー
② 天候としては想定通り
日中は標高低い本部付近は20度越え
稲子湯付近 本部より3~4度低い
山頂付近 さらに4度以上低い
深夜や明け方の山頂付近は気温一桁です。
局所的に雨が降る事、ガスって視界が悪い箇所は多くありました。
大きなコースロストは知る範囲ではなし。
想定を越えていたのはレース前日(説明会終了後)の突風です。
かなり強い風が吹いていて本部付近でもドームが大きな音と共に煽られていました。レース中にこれが吹いたらエイドのテントが飛んでいくので大会中止だなと予報を見直す夜でありました。翌日山頂配置のスタッフがコース確認しながら(もちろん暗い時間から)登山して配置に向かっていると、前日まではなかった倒木多数あり。昨夜の突風にて倒れたようでした。風もまた安全管理上問題となるケースでありました。
③リタイア原因―救護事例
リザルトを見ると完走率28%程度 7割の選手がリタイアしています。
下山して本部で休む選手の中でも体調不良を訴える選手は多くいました。
●骨折や脱臼など大きな整形外科外傷はありませんでした
足関節捻って歩けるけど走るのはムリという方も数名 リタイアはしなかったけど寒いなか4時間歩いて下山したという方もいました。『防寒具持っていて良かった』とぼそっと重みのある一言でした。防寒具なければ低体温症に移行していたかもしれません。
●2周終えて 仮眠室でダウン!
意識あり、気持ち悪い、寒い、動けないという選手もいました。応援のサポーターが着替えをさせて下さりしばらく休む(この時点ではあきらめてない)ペットボトル湯たんぽを抱えてもらい、上から毛布保温。低体温症の症状であり全身の震え(シバリング)が起きてはないので、体温上がって胃腸障害が軽減出来れば回復するかも。数時間休み徐々に回復しましたがDNFとなりました。自力で下山してきて良かった&回復して良かったという事例です。
●5周目の登山道にて行き倒れ(ほんとに)
3周すれば先が見えてきて、4周すればあと1周。4周クリアしてフィニッシュならずは8名。5周目に進んだ選手は非常に強い選手ばかりです。こちらとしても疲労もあり油断しがちな時間にスイーパーから無線あり。舗装路から400mぐらいの登山道にて倒れて動けない選手あり意識あるので誘導スタッフと担いで下ろします。白くま隊スタッフも車にて合流地点に向かいます。
4周目からぺーサーが付いていた選手 最後まで出し尽くす感じでやり切ってしまいました。登りで意識が朦朧として少し休もうと立ち止まろうとしたところ、ばったり倒れた様子です。補給が全く出来なかったわけではないが低血糖のような意識の弱さ、力が入らなくて自力歩行困難となりました。
緊急搬送をいないといけない事例ではないですが本部まで搬送した後もぐったりとトイレに行くにも介助が必要でした。サポートがいたから自宅まで車で帰れましたが一人では全く無理ですので病院に送っていたかもしれません。
固形物も補給していた(悪いことではないです)ので消化不良もあったのかと思います。ペーサーが付いていたからこそ頑張り過ぎてしまったという認識です。
KOUMI100のように周回コースで管理しやすいフィールドですので救助も困難でもなかったですが山頂付近だったら、天気が悪ければと悪い展開はいくらでも予想が出来る状態でした。
★日中の暑さではナトリウム不足から筋痙攣が心配であり、寒くなっては胃腸も動かなくなり補給出来なくて低血糖、体温が下がり走れないというKOUMI100らしい展開が多くありました。寒くなっての胃腸障害お腹を温めたり(外からも内からも)何とか防げるといいですね。救護所ではカイロをお腹に貼ったりもするのですが走る時にも試して欲しいです。
普段は胃腸障害なんて起こさないのにという選手も多かったです。
なかには信越5岳からの連戦疲労という選手も本人が把握しているよりも内臓含めて疲労はたまっています。心身ともにKOUMI100をターゲットに準備しないと完走出来ないという言葉が印象的です。前回完走したからという気持ちでは攻略出来ないとのこと。来年もまた一人でも多くの選手が完走出来ますように!!またお会いしましょう。
現地でも読んでますというお声沢山頂きました。質問や感想などお気軽にコメント下さいませ。