【SB目線で観るモダンフットボール】20210919 West Ham United vs Manchester United
①本日のサイドバック
皆さん、こんにちは。Polar Bear(ポーラ・ベア)です。
台風一過の心地良いお天気ですが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、現地時間2021年9月19日に開催されました、
West Ham United vs Manchester United @London Stadium の試合を分析していきたいと思います。
昨シーズン6位のウェストハムと、C.ロナウドが復帰したマンチェスターUという好カードにおいて、マンチェスターUのルーク・ショー選手(以下「L.ショー」)にフォーカスしていきたいと思います。
プレミアリーグの魅力といえば、所謂、トップクラブと呼ばれるクラブと、それ以外の中堅チームとの差が、あまり無い所ですよね。
(近年では、経済的な部分でも、中堅チームが差を詰めてきている印象があり、他リーグのトップレベルの選手が、プレミアリーグの中堅チームに移籍することもしばしば。)
中堅チームのホームゲームなら尚更、素晴らしい、見応えのあるゲームになることが多く、一筋縄でいかない所が、プレミアリーグが世界最高峰のリーグたる所以です。
今回のゲームもそんな見応えのあったものでした。
普段であれば、試合の概要から述べていくのですが、あまりに展開がドラマチックなので、今回は、試合の概要は敢えて述べず、L.ショーのプレー面を深掘りしていきたいと思います。
euro2020決勝の先制点など、最近の彼のパフォーマンスは目を見張るものがありますよね。
(こちらのゴールは、両チームのフォーメーションの噛み合わせを意識し、大外が空くのを利用した、頭脳的かつ、アウトサイドのシュートの質が抜群の素晴らしいゴールでした。。脱帽です、、)
②L.ショーのタスク
●フォーメーション:ウェストハム:4-4-2 /マンチェスターU:4-2-3-1
まずは、攻撃時の役割と守備時のタスクを整理したいと思います。
●攻撃時のタスク:コンビネーションで左サイドを攻略する攻撃的SB
前回の記事で紹介した、マンチェスターCの「偽サイドバック」と違い、マンチェスターUでの彼の役割は、従来的なSBといえます。
(ただし、味方選手のポジショニングによっては、時より内側のレーンに入り、CBからのパスを引き出す場面もあり、ピッチを俯瞰で見れる、クレバーかつ現代的な一面も何度か垣間見れました。)
前回記事:
基本的には、左サイドハーフである、P.ポグバが中に絞ることから、左サイドに幅を取り、そこからボールを受け、ワン・ツーを駆使し、左サイドを攻略しようというのが、彼の特徴を活かした、本ゲームでの役割だったと言えます。
※この試合では、S.マクトミネイが右ハーフスペースに落ち、3CB気味でビルドアップしているシーンも多く、その際のL.ショーとP.ポグバの位置関係イメージ
チームとしては、P.ポグバとL.ショーが左端の2レーンにそれぞれ入ることにより、相手ディフェンスラインを、内側に寄せたり広げたりすることができ、ディフェンス陣の横スライドのズレから、ゴールを狙うことができます。
また、タスクという面では、そのキック精度の良さから、両サイドからのコーナーキックのキッカーも務めておりました。
●守備時のタスク:CBとの距離感を意識した、ハーフスペースを埋めるSB
※L.ショーのハーフスペースを消してから、サイドにスライドするポジショニングイメージ
守備においては、”4枚のディフェンスラインで、一番怖いところを意識しながら守る”というタスクの一翼を担っておりました。
相手サイドハーフが、内側に絞り、SBもオーバラップしてくる中、最初から外を意識した守備位置だと、ゴールに近い、ハーフスペースを使用されることから、相手を外回りにさせることを目的に、味方CB(H.マグワイア)との距離感をかなり意識しておりました。
4枚の距離感を意識しながら、ハーフスペースを消し、大外にパスを出させて、ゴールから遠ざけるという、極めてベーシックなタスクを、途切れなく行っていたことが印象的でした。
終盤のプレー以外は、特段目立った守備対応もなかったですが、上記のタスクを手堅く遂行し、チームの勝利に貢献したと思います。
③L.ショーのパフォーマンス 〜オフ・ザ・ボールの動きとキックのクオリティ〜
L.ショーといえば、若くしてサウサンプトンで活躍し、マンチェスターUに移籍したものの、移籍当初はなかなか活躍できず、批判された時期もありました。
そんな彼は、対人能力やスピードに突出している印象はあまりないですが、イングランド代表のスタメンでもあり、ワールドクラスなSBの一人です。
そんな彼の魅力をこれからご紹介します。
〜 オフ・ザ・ボールの動きとポジショニング〜
上述の通り、彼は特筆すべきスピードがあるわけではないですが、この試合でも、味方とのコンビネーションで、左サイドを駆け上がるシーンが多く見られました。
すんごい、詳細な話になりますが、ワン・ツーの質が抜群です。
この後も述べますが、彼は、膝下の振りだけで、様々な種類のパスを出せることから、この試合でも、中にボールを晒しながら、相手を食いつかせ、アウトサイドでパスを出し、その後、すぐにスプリントの上、リターンをもらうというシーンも何度かありました。
また、シンプルなインサイドパスからのワン・ツーでも、パスを出した左足でそのまま一歩目のスプリントを行っていることから、走力がそこまで無くとも、左サイドを攻略することができておりました。
更には、この試合だけでなく、直近の彼のプレーの印象ですが、サイドハーフが内側に絞り、ボールを保持しているときの、オーバーラップのタイミングとその幅(距離感)が抜群です。。
オーバーラップの際に幅を取りすぎると、パスを受けるまでに時間がかかり、縦への速さが失われますが、彼のオーバーラップは、比較的近い距離感で、抜群のタイミングで駆け上がるので、縦へのスピード感を落とさずに、クロスを上げることが出来るという面で、非常に効果的なランニングをしております。(下図参照)
続いては、ポジショニングのお話。
27分のように、味方選手(このシーンでは、B.フェルナンデス)がサイドに流れた際には、スルスルと内側に絞り、ハーフスペースでボールを受け、ミドルシュートを打つなど、チームのバランスを見てポジションを取ることが出来る、オフ・ザ・ボールに優れた選手です。
49分(後半4分)の場面では、ビルドアップの時にサイドハーフへのパスコースを消さないように、咄嗟の判断でハーフスペースに入り、縦パスを受け、そのまま前を向き、外に叩き、インナーラップからコーナーキックを獲得しました。
この場面からも分かるように、バランスの良い、気の利いたランニングができる、素晴らしい選手です。
〜キックの種類と、そのクオリティ〜
続いては、彼のキックの種類と、そのクオリティを紹介していきます。
彼のプレーの特徴として、ファーストタッチは、基本的には足元に止め、そこからのパスという形が挙げられますが、パスの際に、膝下の振りを微調整するだけで、インサイド、インステップ、そしてアウトサイドと、3種のキックを蹴れる側面を持っております。
大きく振り被らなくとも、膝下だけで3種のキックを蹴れるため、ボールを晒しながらドリブルしていても慌てず、パスを出すことができます。
(相手も足元からボールが離れないため、プレスをかけづらいですよね。)
そんな中でも、とりわけ、アウトサイドのキックの質が最高です。。
冒頭のeuroのゴールもそうですが、前節・ニューカッスル戦での2点目のC.ロナウドへのラストパス。
パスの強さといい、コースといい、完璧なアウトサイドでのラストパスでした。
(セクシーなパスとは、このようなパスのことを言うのでしょうか、、)
前節ハイライト:
④最後に
R.ヴァランやC.ロナウドの獲得により、タレントに磨きがかかった、マンチェスターUですが、コンスタントに、質の高い、”バランスの良い”プレーをしている、L.ショーのパフォーマンスにも今後期待です。
今回も興奮冷めぬうちに、色々と綴ってしましましたが、SBの魅力が少しでも伝わり、次回以降の観戦の際に、ちょっとだけSBを意識していただけたら幸いです。
ではまた次回。
皆さん、週明けもお仕事や学校など、”バランス良く”頑張りましょう!
※画像&動画:
twitter @WestHam(https://twitter.com/WestHam)より引用
twitter @euro2020 (https://twitter.com/EURO2020)より引用
twitter @LukeShaw23 (https://twitter.com/LukeShaw23)より引用
YouTube Manchester United 公式より引用
※TACTICAListaを使用
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