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写真のボケをコントロールする方法

こんにちは、ポラックです。

今回は「写真のボケをコントロールする方法」です。

スマホで写真を撮っている人が一眼レフを購入する理由の一つは「ボケのある写真を撮りたい」ことだと思います。

私もそうでした。笑

しかし本来の写真の目的は「被写体を綺麗に撮る」ことです。

被写体を引き立たせるためのボケ」が正しいボケの使い方ですが、案外その目的が逆転し「ボケのある写真を撮る」ことが目的になってしまっているなんてことありませんか?


ボケと被写界深度

ボケに関する記事をググったりしていると、
被写界深度」という言葉が必ず出てきます。

たまにその記事に違和感を感じることがあります。

それは「ボケ具合=被写界深度」と書かれていることです。

間違ってはいないかもしれませんが、
被写界深度の本当の意味は
ピントの合う範囲」です。

写真を撮る本来の目的は
被写体を綺麗に撮る」こと。

そのなかで最も大事な
被写体にピントを合わせる
そのための概念として
被写界深度」があります。


「ボケ具合=被写界深度」ではなく
ピントの合う範囲=被写界深度
が正しいはずです。

その結果として
ピントの合う範囲から外れた部分がボケる」ということです。

なんだか固い話になってしまいますが、
結局のところ自分が撮りたい良い写真が撮れれば良いわけで、そのために
ボケをコントロールする方法=被写界深度=ピントの合う範囲
が分かれば良いと思います。

ボケのある写真が撮りたければ、
主題以外を被写界深度から外す
ことができれば良いわけです。


被写界深度は計算できる

そもそも私がなぜこんなことを考えるかというと「なんとなく感覚で」というのが嫌いだからです。

センスや感覚というのは非常に大事だし、
最終的には作品に差が出る部分だと思います。

ただしそれは
写真の技術や知識を身につけたプロのフォトグラファーや写真家の方」の話しです。

私のような写真の初心者が
最初から感覚だけでやっていては進歩が遅い」と思います。

なので出来れば
実際の数字で論理的に理解できないか?」と考えて作成したのが以下の表です。

画像1

この表は
焦点距離50mmのレンズを使用した時の被写界深度」です。

被写界深度は使うレンズの焦点距離で変わります。

よく「望遠レンズの方がボケる」というのはこのことです。

上の表の横軸は被写体(ピント面)との距離をメートルで表しています。

縦軸はそのレンズのF値です。

表の中の左上が前方被写界深度。
表の中の左下が後方被写界深度。
表の中の右側が被写界深度です。

被写界深度はセンチメートルで表しています。

同じレンズを使用した場合でも、
被写体との距離とレンズのF値で被写界深度(ピントの合う範囲)が変わります。

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例えば撮りたい被写体までの距離が2mの場合、上の表を見ると絞り開放のF1.4だとピントの合う範囲は13.5cmです。

ピント面から前側に6.5cm後ろ側に7cmの範囲にピントが合います。

「それ以外の範囲がボケる」ということです。

人物だけにピントを合わせたい場合(ポートレート)はこの設定でも良いかもしれません。

これが観光地での記念撮影だった場合。

撮りたい人物とその後ろにあるお寺も写真に収めたいとします。

画像2

例えば人物が先ほどと同じ2mの距離だと、
F8まで絞りこんでもピントの合う範囲は79.7cmです。
(ちなみに絞り値を倍にすると被写界深度も倍になります。)

仮に人物の後方のお寺の距離が3mだった時にどちらにもピントを合わせたい場合にできることは2つです。

①カメラと被写体との距離を離す
②レンズを絞る

こうすることで被写界深度が深く
(ピントの合う範囲が広くなる)
なります。


①カメラと被写体との距離を離す

絞りをF8のまま被写体とその後ろ3mのお寺の両方にピントを合わせたい場合、被写体との距離を2mではなく4mまで遠ざかれば良いわけです。

ん?と思いましたか。

被写体との距離が4mの時の後方被写界深度は249.4cmです。

被写体から3m後ろのお寺にピントが合わないのではないかと思ったかもしれません。

画像4

この時前方被写界深度が111cmあります。

要は被写体との距離を4mにするのではなく、
ピント面との距離を4mにすれば良いということです。(ピントを4mの位置に合わせる)

先ほどの位置関係との違いは結果的にいうと
自分が1m下がりピントを4mの位置に合わせた」だけです。

被写体は動かずお寺との位置関係も3mと変わっていません。

しかしこれで被写体とその3m後ろのお寺の両方にピントが合った写真を撮ることができます。

絞り値を変えなくても自分が1mさがりピントを2m先に合わせることで、被写界深度が79.7cmから360.3cmまで増大するということです。

そして「その範囲から外れた部分がボケる」。

これが①の方法です。

②レンズを絞る

絞り値をF8からF16まで絞ります。

表の被写体との距離3mのところを見てみます。

画像5

被写界深度が517.2cmあります。

絞りをF16にしてピントを被写体のいる2mの位置ではなく3mの位置に合わせます

自分も含めて最初の位置関係と全く変わることなく被写体とお寺にピントを合わせた写真を撮ることができました。

そしてピントの合う範囲以外がボケます

どうでしょうか?

被写界深度をコントロールできればボケを自在にコントロールできます。

上の表をみることで
「被写体に近づいて背景から遠ざかることでボケる」「絞り開放の方がボケる」
というのもわかると思います。


もうひとつのボケ具合

この文章の冒頭で
「ボケ具合=被写界深度」ではなく
ピントの合う範囲=被写界深度
と言いました。

被写界深度を知ることで、
「ピントの合う範囲=ボケる範囲」をコントロールすることができます。

私の思うボケ具合とは
ボケる範囲のボケ自体がどんな具合でボケるか?」です。

ややこしいですがその答えは

「レンズの有効径」です。


レンズの有効径とは?

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この表はレンズの有効径です。

ボケの大きさはレンズの有効径で決まります。

なので
「ボケ具合=レンズの有効径」

「望遠レンズの方がボケる」というのは上の表を見れば一目瞭然です。


ボケをコントロールするとは?

では今回の主題の「ボケをコントロールする」ですが。

ボケをコントロールするには
「被写界深度」
「レンズの有効径」

この2つを知ることだと思います。

被写界深度によってボケる範囲を理解し、
レンズの有効径によってボケ具合いをコントロールします。

構図優先するならあまり動かずにピントと絞り値で被写界深度を決めます。

ボケ具合を優先するなら絞りを開いて自分と被写体の位置関係を変える。

このことでボケ具合をコントロールすることができます。

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先ほどの表で「ボケるレンズ」がわかったと思います。

この表では、その「レンズを絞った時にどのくらいのボケ具合か」がわかります。

要は構図を優先して絞りで被写界深度を決めると、「ボケの大きさが小さくなる
ということです。

露出の三角形という言葉を聞きますが、
ボケの三角形は「構図と被写界深度と有効径」
といえるのではないでしょうか。


まとめ

今回は少し難しい内容だったかなと思います。

実際には被写界深度の計算はあくまで近似値ですし、ボケというかピントの合う範囲はミリ単位ですがなだらかにボケていくのであの数字で綺麗に割り切れるものではないと思います。

それをあくまでわかりやすくするために表と図にしてみました。

実際には他の焦点距離の被写界深度の表も作ってみました。

それを応用すれば「パンフォーカスの方法」や「野鳥や鉄道写真の確実な置きピンの方法」もわかると思います。

今後記事にしていけたらと思います。

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