過去の記憶を彷徨うポスター ーーリシャルド・カヤ
こんにちは。あやです。
このブログの掟としているわけではありませんが、なんとなく、ポーランド史上の巨匠、偉人というよりは、私たちと同じ時代(イマ)を生きる方々をご紹介したいなと思っています。
けれども、私の永遠のお気に入りや殿堂入りの人はご紹介したいなと思い、今回はそんな回になります。
リシャルド・カヤ(Ryszard Kaja)
1962年ポーランド・ポズナンで生まれる。父親はグラフィックデザイナーのズビグニエフ・カヤ(Zbigniew Kaja)、母親は陶芸家・画家のステファニア・カヤ(Stefania Kaja)。ポズナン美術専門学校(現・ポズナン美術アカデミー)を絵画で修め、ポーランド各地にある国立劇場のポスターデザインを手がける。
2012年にヴロツワフのギャラリーと共同で始めた「ポーランド」シリーズでもよく知られている。2019年逝去。
※日本語では「カーヤ」という記述もあります。
私がカヤの作品に出会ったのは、まさしくこの「ポーランド」シリーズで、初めはヴロツワフで行われている映画祭「Nowe Horyzonty(新たな地平線)」に行った時、売店で扱われていたポスターを見たのでした。また、ヴロツワフのギャラリーの前を通った時(あれは2014年か15年くらいだったかと思います)、なんだこれはと思い、立ち止まったのでした。「なんだこれは」の内訳は、自分の知っているポーランドの地名が見えているのに、ガイドブックや街の公式広報素材では見たこともないような題材が描かれている、ということでした。
▲こちらでコレクションを見ることができます。まずは是非覗いてみてください。
この「ポーランド」シリーズについて、インタビューの中でカヤが次のように語っています。
また、このシリーズを集めるとポーランドの四季や、文化、芸術、自然、慣習を俯瞰でき、さらに「若きポーランド」、アールデコ、現代風などの様式も楽しめるように作ったのだとか。ただし、あくまで「カヤ流」とのこと。
私の個人的なお気に入りは「Kocie Góry(猫山)」と「Łazienki(ワジェンキ公園)」。
▲トゥシェブニツキェ丘陵の通称が「猫山」で、ドイツ語名Katzengebirgeから名付けられたそうです。もともとこの地域にはなだらかな丘陵が散在しています。本物の猫がくつろぐ丘、たまらなくかわいい・・・
▲ワジェンキ公園はワルシャワにある大きな公園で、公園というよりは小さな森とも言えるほど自然が豊かです。元は王様が水の風景を眺めて楽しむために造られた庭園で、水上宮殿やオランジェリーなども、今でも残っています。
この公園には野生・もしくはどこからかやってきて野生と化したリスがいて、子どもたち(大人も!)がくるみを持ってきて餌付けするのが風物詩の様になっています。そのリスが、「ワジェンキ」ーー公園の名前となっているものの、その意味は「浴場、水浴び場、浴室」ーーでシャワーを浴びているという、公園の成り立ちや今の姿を知っていると「なるほどね!」と合点がいく組み合わせです。
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